View & Vision No42
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2742いうより「アンブレラターム(包括的な表現を指す用語)」として受け入れられています。【そのことばで呼ばれるもの】 クラウドコンピューティングの仕組みを理解するのにもっとも身近な存在は、Gmailなどの電子メールサービスです。従来、電子メールを利用するためには、専用のソフトウェアをコンピュータにインストールする必要がありました。しかしGmailは専用のアカウントを作れば(言い換えると、サービスを運営しているGoogle社と契約して利用許可をもらえば)、ウェブブラウザを利用して、電子メールの機能を使うことができます。この機能を実現しているソフトウェアやデータは、インターネット上にあるGoogleが管理するコンピュータの中に存在して、それを「借りて」利用しているということになります。 ただ、一般的にクラウドコンピューティングといった場合、個人向けのサービスではなく、業務用の情報システムを対象としたものを指すことが多いです。それは社内グループウェアであったり、莫大な顧客情報を管理するシステムであったり、はたまたウェブサイトを構築するシステムであったりと、従来は自社内で管理していた情報システムを、外部の提供する「クラウド」サービスで置き換えることを「クラウドを活用する」という言い方をします。提供される機能や方法の違いによって、SaaSとかPaaSとか呼ばれ、色々と分類がされていますが、詳細は省略します。【ことばの由来】 2006年にカリフォルニアで開かれた会議において、Googleの元CEOであるエリック・シュミット氏が行った次の発言が由来だとされています。「ブラウザの種類も、アクセス手段も、PCかマックかも、携帯電話かも無関係です。雲のような巨大なインターネットにアクセスすれば、恵みの雨を受けられる時代になっています」 先の図はこのことを表現したものです。雲の中はもやもやしていてよくわからないけれど、アクセスすれば誰でも簡単に(ブラックボックス的に)様々なことが実現できる、といった意味なのです。【なぜ広まったのか?】 ひとことで言えば「便利だったから」だと思います。1995年を境にインターネットが普及した後、企業では様々な情報システムが活用されるようになりました。それらは急速に多様化し、ハードウェアの保守やソフトウェアの導入(もしくは開発)にコストがかかるようになります。そして2000年代後半、GoogleやAmazonをはじめとした各社のクラウドサービスが一般的になると、情報システムは「買う(作る)」よりも「借りる」ほうが「便利」だという考え方が一般化したのです。 また、そのような、情報システムを「貸し出す」サービスを、2000年前後にはASPとかSaaSとか呼ぶこともありましたが、そんな馴染みにくい言葉ではなく、色々全部ひっくるめて「クラウド!」と一言で表現できる「便利」な【ことば】だったのだと思います。 ここ数年、ビッグデータという【ことば】がテレビやネットニュースなどで取りあげられるようになってきました。見出しとしては「ビッグデータがビジネスを変える!」とか「ビッグデータを活用してコスト削減!」とか、そういった文言が見受けられます。内容は、企業が今まで活用していなかった情報、もしくはネット上の莫大な情報を「分析」して商売に役立てる……といったものです。一方、「ビッグデータを活用した地域振興」や「ビッグデータを活用して犯人逮捕」など、ビジネス以外の活用事例も見受けられます。さらに、2013年の参院選前の産経新聞には「ビッグデータで風を読め」という見出しで、ヤフーの検索ワードやツイッターなどの書き込みを活用して票読みを行う、といった内容が掲載されていました。 なにやら、色々なことに活用できて、すばらしい効果がありそうな【ことば】ですが、ここで取り上げている以上、この【ことば】は「バズワード」です。3.ビッグデータ

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