View & Vision No42
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44トピックス42ことにより地元経済活性化に貢献・参画し、将来の地元経済ならびに日本経済全体の発展、ひいては自行の発展を目指すビジネスモデル」あると定義されている(伊東眞幸・家森信善[2016]29~33、64~77ページ、伊東氏は環境変化に対応して銀行自身が変わることを銀行に求めていた(伊東眞幸[2015])。この「コントリビューション・バンキング」は政府が地域金融機関に期待する地方創生に寄与する銀行の在り方と同じものと考えられる。 だが国内需要が低迷している状態のもとでは、金融機関が積極的に地域経済に参画したとしても、それは地元企業や地元経済の活性化には直ちには繋がらず、金融機関の積極的な地域経済への参画が地域経済や日本経済の活性化をもたらすとみなすことは、金融機関の役割に過大な期待を寄せるものであるといえるのではなかろうか。 地方創生が国家的課題となり、地域金融機関はこれに貢献することが求められている。地域金融機関は地域密着型金融を進めてきており、今日も地域の中小企業支援という地方創生貢献の役割を果たしている。地域金融機関は、地方創生戦略策定支援を行うとともに、地域の個別中小企業等を支援し、さらにグループに対する面的地方創生支援を行っているのである。地方創生が叫ばれる中で、特に地方創生戦略策定支援という地方全体への貢献やグループに対する支援という役割が増大している。 だがこの地域金融機関の地方創生活動には様々の問題、課題が存在しているのである。伊東眞幸[2015]『地銀の未来』金融財政事情研究会。伊東眞幸・家森信善[2016]『地銀創生――コントリビューション・バンキング』金融財政事情研究会。閣議決定[2014a]「まち・ひと・しごと創生長期ビジョン」2014年12月27日。閣議決定[2014b]「まち・ひと・しごと創生創業戦略」」2014年12月27日。閣議決定[2015a]「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」2015年6月30日。閣議決定[2015b]「まち・ひと・しごと創生基本方針2015 改訂版」2015年12月24日。閣議決定[2016a]「まち・ひと・しごと創生基本方針2016」2016年6月2日。木村俊文[2015]「地域金融機関の地方創生への取組動向」『農林金融』8月。金融庁[2013]「新規融資や経営改善・事業再生支援等における参考事例集」10月。金融庁[2014a]「新規融資や経営改善・事業再生支援等における参考事例集(追加版Part1)」4月。金融庁[2014b]「地域金融機関による事業性評価について」10月。金融庁[2015]「地域金融機関の地域密着型金融の取組み等に対する利用者等の評価に関するアンケート調査結果等の概要」8月。金融庁官民ラウンドテーブル「中小企業金融の向上」作業部会[2013]「金融機関によるリスクマネー供給力の強化等を通じた創業・新規事業支援の促進に向けて」5月。日下智晴[2016]「今、地域金融機関を考える」『事業再生と債権管理』第153号、7月。経済産業省[2016]「地域企業 評価手法・評価指標検討会中間とりまとめ~ローカルベンチマークについて~」3月。経済産業省 経済産業政策局 産業資金課[2016]「ローカルベンチマークについて」3月。全国銀行協会[2016]『地方創生に向けた銀行界の取組と課題』3月。全国地方銀行協会[2014]「平成25年度の地方銀行における具体的取組み事例集(分野別)」。全国地方銀行協会[2015]「地方銀行における『地域密着型金融』に関する取組み状況」9月。西川和宏[2016]「地方創生に関する金融機関に期待される役割――地方創生第2ステージ――」『事業再生と債権管理』第153号、7月。西田直樹(金融庁監督局審議官)[2016]「地域金融機関に期待される役割」5月。日本政策投資銀行[2015]「『地方創生』に関する地域金融機関と日本政策投資銀行との連携について」3月。福本拓也[2016]「『ローカルベンチマーク』の活用に向けて」『事業再生と債権管理』第153号、7月。堀本善雄(内閣官房まち・ひと・しごと創生本部事務局 参事官)[2015]「『まち・ひと・しごと創生』と金融機関の役割について」5月。まち・ひと・しごと創生本部事務局[2015a]「地方創生への取組状況に係るモニタリング調査結果」10月。まち・ひと・しごと創生本部事務局[2015b]「地方創生に向けた金融機関等の『特徴的な取り組み事例』について」12月。参考文献むすび

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