View & Vision44
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13特 集女性の活躍が地域社会を変える44 前述のとおり、私はいわゆる「均等法第一世代」です。この30年間で、女性が社会で働く環境整備は大きく前進したと思います。特に公務員は、育児休業など仕事と家庭の両立支援制度が整っていると思います。また千葉県庁では、管理職への女性の登用も、30年前とは比べ物にならないほど進んでいます。 そのような中でも、保育所が見つからず、やむなく育児休業を延長する職員や、いわゆる「小1の壁」にぶつかり退職する職員もいます。子育て支援には、一層の工夫が求められているようです。 一方、自分の経験や後輩の話から、制度の充実と同時に、職場や家庭における両立支援への理解や、相手への思いやりと十分なコミュニケーションも大切だと強く感じます。制度が充実していても、「休みがとりづらい」「周囲に迷惑をかけたくない」などの理由で、制度の活用を遠慮する人もいます。これは組織にとってプラスには働きません。逆に、相手を思いやる心遣いや良好な人間関係は、制度の不足を補うこともできると思いますし、女性活躍のためだけではなく、優秀な働き手の確保や生産性の向上にもつながります。 日頃からコミュニケーションをとりやすい職場づくりを進めるには、毎日の挨拶がとても有効だと思います。毎日挨拶していれば、相手の小さな変化に気づきやすくなります。いつもと違うなと感じたとき、「何かあった?」「体調悪いの?」と問いかけることで、「実は子供が…」など、事情を話しやすくなります。そうした積み重ねが、思いやりと信頼関係を構築し、組織としてのパフォーマンスの向上にもつながると思います。 今はインターネットで世界中の情報を得ることができ、SNSなどで遠くにいる人とつながることもできます。それでも、自分の足でいろいろなところを訪れ、自分の目や耳や鼻や肌で、直接感じること、体験することを、億劫がらずにしてほしいと思います。犬やライオンは、じっと見たり、においを嗅いだりして、安全か危険か、敵か味方かを判断します。人間も、彼らと同じ動物です。いくらITを使いこなしても、自分の五感を使わなければ、生き抜く力が衰えると思うのです。生きる上では、五感のほかに、第六感(直感)も大切です。第六感を養うためにも、五感を鍛え、感性を磨いてください。豊かな感性を持つ人は、他人を思いやることができます。 男性も女性も、若い皆さんが、相手を思いやり、ともに支え合う、豊かな感性の持ち主になってくれること、そして、毎日笑顔で生き生きと暮らしてくれること、それが一番の「千葉の魅力」です。 今回、千葉商科大学経済研究所主催の公開シンポジウム「女性の活躍が地域社会を変える」にパネリストの1人として参加し、千葉県の取組を紹介する機会をいただき、本当にありがとうございました。同大学の原科学長、経済研究所橋本所長をはじめ関係者の皆様に改めてお礼申し上げます。働く女性の1人として思うこと4若い方々へのメッセージ5

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