View & Vision44
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22特 集女性の活躍が地域社会を変える44躍している人を見たらたまたま女性だったという環境を整える段階にきた、ということではないだろうか。換言すれば、入り口での差別さえ解消できれば、競争や共創のプロセスでの必要以上の介入はいらない、ということになる。 実際、大学など教育の世界にいると、男女の差は全くない。男性用、女性用と分けたカリキュラムも無い。国際教養学部は、グローバル化の波が押し寄せる中で世界に通用する真のグローバル人材を育成するミッションの下に2015年、開設したが、パーソナリティによる個別指導は丁寧に行っているものの、ジェンダーに左右される場面は無い。 入学式当日にその足で新入生を海外に連れていき、提携先の大学の学生たちとのコラボレーションによりある種のカルチャーショックを受けさせ、外から日本を眺めてモティベーションを高めたところから学修に入らせる。語学や情報literacyは目的ではなく手段であり、大切なのはコミュニケーション力を高めることであるから、授業も「negotiation in English」「Chinese communication」といった使える実践的な内容で行う。基本は異文化理解の豊かな教養である。孫子の兵法ではないが、世界を知るにはまず、足元から固める必要がある。従ってカリキュラムは、日本を知る、アジアを知る、そして世界に羽ばたくという階段状に組んでいる。海外との出入りがしやすいように、quarter制を敷き、サマープログラム等での外国人学生の受け入れに積極的に取り組む。2年次秋には全員必修の留学に送り出す。現在、世界7か国8大学と研究者交流を含め極めて密接な関係を築いており、学生は外からの留学生というより母校としての扱いで厳しくも温かく受け入れていただいている。 こうした学修のどこにも、ジェンダーによる差別的扱いは存在しない。女子学生は4割を越え、大学進学者における女子の比率と同等である。6 そして、地球市民としてのidentityとして、前述のように自らを支える地域に軸足を置くよう育てている。サッチャー元首相の望んだような、活躍している人をみたらたまたま女性だった、それも日本文化にルーツを持つ女性だった、という世界が間近に実現することを願っている。図5〈千葉商科大学における女子学生の比率〉6 文科省「学校基本調査」によると平成26年度の大学進学者に占める女子の割合は43.8%

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