View & Vision44
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3844 香港の旅行会社で一番大きいEGL社の袁社長がお越しになる予定でしたが、急遽代理でお越し頂いた方が、末廣部長でした。その際に、EGLの袁社長が日本各地の観光親善大使に任命されているという話と、観光大使に任命された地方都市においても、香港との定期便化が実行された、もしくはチャーター便の運航に繋がったというお話を頂きました。私は、早速この話を岩手県の空港課と観光課にお伝え致しました。岩手県としても、初めての事ではありましたが、検討して頂き、数ヶ月であっという間に観光大使任命となりました。達増岩手県知事から任命書や記念のマントを直接プレゼントして頂き、その会食会には、岩手県の観光関係の方々や近隣首長が出席されて華やかな席となりました。 そのようなご縁で香港から花巻空港への定期便化に向けたお願いという事が今回の一番の目的でありました。 6月2日に、ごく限られたメンバーで香港を訪れ、香港航空、日本国総領事館、EGLツアーズなどを訪問致しました。定期便については、かなり前進した回答であり、東北初の香港との直行便化に向けて実りある訪問となりました。簡単に香港の事情について触れてみたいと思います。まず、一国二制度を掲げていますが、2047年までは、不変的な高度な自治が約束されており、司法権も独立されていることが大きいと思います。人口は約730万人、面積は東京都の半分、1人当たりのGNPはシンガポールに次いでアジア2位であります。香港を訪れる外国人者数は、年間5600万人(日本の2.3倍)、金融・物流・情報においても、アジアの中心的存在であり、地理的に広東省やマカオとの繋がりを見れば人口は1億人に匹敵するものと思われます。小さな政府であり、軽い税負担(法人税16.5%、キャピタルゲイン課税・消費税・贈与税・相続税・関税)はありません。そのような点から、香港に進出する企業数の国別では、日本が1位となっています。2016年に香港から日本への旅行者数は、183万人(前年比20.7%増)となっており、毎年右肩上がりの状況が続いています。2017年の速報においても、1月から4月で既に70万人を超えており、2013年の1年間に匹敵する数になっています。香港人旅行者の5人に1人はこれまでに日本に10回以上の訪問があり、高いリピーター率であります。現在の定期直行便は日本の15都市でありますが、空白地帯の東北に何としても就航を実現したいと思っています。現在、マカオへの橋の建設工事が行われており、年度内にはわずか30分で道路が繋がることになります。更に、香港の北に位置する深圳までの新幹線工事も行われております。将来的には、広州、上海まで延伸されるということですので、著しい発展が見込まれます。2023年には、世界一過密ダイヤといわれる空の玄関口解消の為、3本目の滑走路工事も進行中でありました。今回の訪港で感じた事は、香港は、日本の地方にとって最も重要なパートナーであるという事です。 当社のインバウンドの歴史は、中国大連から雑技団誘致に遡ると思います。客室数が当時は600室、収容人員2500名のホテルでございましたので、冬季の閑散期対策として興業を行っておりました。そのような関係で、早くからインバウンドを受け入れる土壌は備えており、台湾、香港、韓国等へ波及してまいりました。花巻空港から10分という恵まれた立地条件もあり、温泉豊富で、岩手の観光を巡るにしても中央に位置する当社ならではの強みもあったと思います。震災前の2010年のインバウンド人員は、18,081名となっています。その内、台湾からは11,127名(61.5%)、次いで香港からの3,008名(16.6%)、3番目が韓国で1,889名(10.4%)となっています。そして、6年後(2016年)のインバウンド人員は、22,125名となっています。 台湾からは、18,522名(83.7%)、次いで、香港が935名(4.2%)、3番目が中国で920名(4.1%)となっており、震災後の韓国は475名となり、香港も2,073名減という状況です。当社としては、FITの受け入れ体制も整えつつ、ツアーの強化も行っております。今年の5月からマンパワーの強化にも取り組んでおります。手始めに、台湾のスタッフを採用し、夏と冬には台湾の大学生をインターンシップとして受け入れる事になりました。又、通年を通して、台湾の大学を卒業し、観光に興味のある学生を数名受け入れる事とし花巻温泉株式会社の取り組み

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