View & Vision44
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4544トピックス騒動は起きていなかったことが推察できる。 復興庁のような大きな組織におけるトップの後任は、中小企業のそれと比べると見つかりやすく、決定しやすい。一方で、中小企業における経営トップの後任人事は後継者不足などの諸問題もあり、経営トップの言動に問題があるからといって、適任者を短期間で見つけ、事業を承継することは容易いことではない。また、たとえ中小企業の経営トップが言動不一致と思われる対応や失言をしたとしても、復興庁のような大規模かつ公的な組織と比較すると、それを指摘するマスコミや第三者は少ないといえる。 しかし、中小企業の経営トップが言動不一致な対応や失言をした場合においては、顧客や取引先などは不信に感じ、黙って去っていくだろうし、そこで働く従業員は、うわべだけ従うふりをし、内心では従わないという面従腹背状態に陥り、経営トップの信頼は失墜し、求心力を失うことになるので、当該中小企業における経営トップのリーダーシップが十分に発揮されないまま、組織のパフォーマンスは一向に向上しないであろう。 したがって、規模の小さな中小企業における経営トップほど、経営理念と乖離する言動は慎み、常日頃から、社員などの関係者との信頼関係構築に傾注すべきなのである。 「人の振り見て我が振り直せ」という意味合いから、中小企業の経営トップにとっても関心度の高いと思われる今村雅弘前復興相の辞任騒動を振り返りながら、中小企業経営トップのリーダーシップのあり方について述べた。 経営理念と乖離した言動は経営トップの信頼を失墜させる。したがって、経営理念と整合しない言動は慎むべきである。しかし、これができないようであれば、佐久間氏のように、経営理念の必要性は認識しながらも、これを敢えて明文化せず、それよりも周囲との信頼関係構築に邁進すべきといえよう。おわりに

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