View & Vision44
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3特 集女性の活躍が地域社会を変える44 そこで、今回の 『CUC View & Vision』は、シンポジウムでご講演・ご登壇いただいた方々を中心に寄稿をお願いし、そこで得られた貴重な知見を広く共有することを目的としている。 1本目は、大里綜合管理株式会社 代表取締役社長の野ところ老真理子氏による「地域とともに」である。本業である不動産業務の傍ら、社員と共に300を超える地域活動に関わり、そこでの「気づき」を具体的な行動に移されている。「輝く女性が未来を創る!」を標語に女性を中心とした交流を行い、地域の問題解決に明るく取り組んでいることなどを紹介いただいた。これからの社会に真に必要とされる活動を考えるにあたり、CSR、環境・社会配慮といった観点からも非常に学ぶことが多い素晴らしい寄稿である。 2本目は、千葉県総合企画部千葉の魅力担当部長の冨塚昌子氏による「みんなが活躍できる魅力いっぱいの千葉県を目指して」である。平成27年(2015年)9月に「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律」が公布され、「女性活躍」に対する注目がますます高まっている。冨塚氏は、千葉の魅力を発信することが女性活躍推進につながることを述べ、千葉県による具体的な女性活躍推進施策について紹介している。誰もが働きやすい環境を実現するには、行政の施策に加えて、「コミュニケーション」や「思いやり」を大切にすることが重要となる。 3本目は、株式会社パートナーズ専務取締役の澤井律子氏による「基幹産業の柱をつくる」である。千葉商科大学(以下、本学)の卒業生である澤井氏は、在学中は、経済学を中心に積極的に学び、女子軟式野球部で大活躍をされたそうである。現在は故郷気仙沼にて環境事業・人材育成を中心にビジネスに取り組まれている。2011年3月11日の東日本大震災を経て、環境・人材の重要性はますます高まっており、課題を的確に捉え、柔軟な発想とスピーディーな行動力でビジネスにチャレンジされている姿は、女性活躍の素晴らしい事例といえる。 4本目は、本学 国際教養学部教授・学部長である宮崎緑氏による「ジェンダー問題におけるパラダイムシフト」である。英国元首相マーガレット・サッチャー女史の言葉を引用し、各種データを参照しながら、日本における女性活躍の状況を大変わかりやすく説明されている。これからの「女性活躍」は、入り口での差別を解消することが重要であり、その後は、活躍している人を見たらたまたま女性だったという環境を整える必要があると述べている。女性活躍の今後の展開を示す非常に貴重な考察である。 5本目は、本学入学センター長の出水淳氏による「女子の4大進学にまつわるエトセトラ」である。出水氏は現代日本における女子学生の大学進学状況を紐解きながら、女子学生が求める教育や女子学生の未来について考察を行っている。社会に出てから役に立つことを在学中に学ぶことで、卒業後に地域や職場での存在感を増していくというスパイラルが重要であると述べている。 以上、本特集の5本の寄稿は「女性活躍」をキーワードとして、現代社会が抱える課題やさまざまなチャレンジ、今後の展開について各々の経験・知見に基づき考察している。全ての寄稿に通じるテーマは「気づき」と「チャレンジ」である。女性が活躍し、男女が共にいきいきと働ける社会を実現するためには、地域社会に積極的に関わり、直面する課題に的確に気づき、解決に向けて迅速にチャレンジすること、そしてそれを実行できる人材を育成することがきわめて重要である。超高齢社会を迎える日本において、それこそが持続可能な社会を構築していくための大きな成功要因となると確信している。千葉商科大学商経学部教授 経済研究所長橋本 隆子HASHIMOTO Takako

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