View & Vision44
50/60

4844再考しながら適用していかなければならない。 中小企業診断士の役割は、診断先企業の成功、あるいは成長・発展への貢献にある。しかし、一方の、顧客である消費者、人間の欲求はますます多様化し高度化しており、商品やサービスの提供方法は、工場で生産し店舗で販売するといった単純な構造では十分でなく、インターネットを通じたり、ネットワーク組織で遂行されるなど、従来の生産・流通システムとは異なる複雑な関係をもって展開されている。 診断は、たとえ家族規模の中小企業が対象であっても、リレーションシップのマネジメントまで適用してかからなければならない。このような、外側からは判断しにくい企業の現状からかい離することなく経営診断を行っていくには、企業に求める顧客の価値や満足度という尺度に診断の視点を定めて進めていくことが重要である。そして、経済社会のサービス化が進行する中で、経営学を前提として他の諸科学を導入して、これまで細分化され、複雑化する一方だった経営診断に関わる理論のパッチワークを再整理し、再統合し、「経営診断の体系化」をはかる必要がある。そして、診断を円滑に遂行するための「前提条件の整理」がなされ、共通認識されなければならないだろう。【…新たな中小企業診断士像を目指して…】 日本の中小企業は欧米諸国と同様、産業に占める比率が高く、その99.7%を占めるなど量的に重要な位地を占め、わが国経済の活力の発露、産業全体効率の源泉と目されている。そこで、①日本の産業の未来の開拓、②未来に貢献する起業支援、その企業の成長・発展の支援、③それを実践する人材の教育は重要な意味を持っている。 本学を卒業し修士号を有した中小企業診断士諸氏には、この産業の未来のあるべき姿の学術的研究と成果の発表、そこに向けて努力する企業の診断支援、そのような企業に関わる人材の育成に貢献していっていただきたいと切に願っている。企業の実態に即した診断方針の決定に向けて、納得のいくまで議論を交わす

元のページ  ../index.html#50

このブックを見る