View & Vision44
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5244 ボランタリー・シンプリシティに関する研究は、大平(2015、2016)をもとに進められる研究である。この概念から日本の消費社会を捉えようと思ったのは、大平が先行研究をレビューしていく上で、欧米で注目されているボランタリー・シンプリシティが日本の消費社会にも導入し始めていると理解できたからである。この研究は、インタビュー調査を実施し、日本の消費者を対象として、敢えて消費を避けたり、減らしたりする要因を検討する。このような研究は、まだ日本では行われていないことから、質的調査方法の一つであるインタビュー調査を実施して、ボランタリー・シンプリシティを実践する要因を抽出し、量的調査を実施するための仮説を構築することを目的とする。具体的な調査としては、まず千葉商科大学の学生の中から、ボランタリー・シンプリシティを実践している学生を抽出し、インタビューを実施する。その結果をもとにし、次に広く一般消費者の中でそれを実践している消費者にインタビュー調査を実施する。参考文献 大平修司(2015)「アンチ・コンサンプション(Anti-Consumption):「消費を嫌がる」の理論的理解」、『千葉商大論叢』、第52巻第2号、33〜49ページ。 大平修司(2016)「ボランタリー・シンプリシティ(Voluntary Simplicity):「消費を避ける・減らす」の理論的理解」、『千葉商大論叢』、第53巻第2号、 61〜81ページ。 大平修司・薗部靖史・スタニスロスキースミレ(2013)「消費を通じた社会的課題解決」、企業と社会フォーラム編『持続可能な発展とイノベーション』、 千倉書房、115~142ページ。 大平修司・薗部靖史・スタニスロスキースミレ(2015)「日本のソーシャル・コンシューマーに関する一考察:寄付つき商品の意思決定プロセスの解明」、 『流通研究』、第17巻第4号、61〜89ページ。 Stanislwski, Sumire, Yasushi Sonobe and Shuji Ohira(2013)"Green Consumption and the Theory of Planned Behavior in the Context of Post- Megaquake Behaviors in Japan"、Advances in Consumer Research、Vol. 41、pp. 161〜183。 増田明子(2014)「コーズ・リレーテッド・マーケティングが消費者のブランド態度へ及ぼす影響 :先行研究のレビューと将来の研究機会」、  『日本マーケティング学会 カンファレンス・プロシーディング』、vol.3、204〜214ページ。 増田明子・大平修司(2017・近刊)「ハンドメイド製品のコーズ・ブランディング:良品計画とJICAによるインクルーシブ・ビジネスにおける製品開発」、 『企業と社会フォーラム学会誌』、第6号、60~83ページ。

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