View & Vision44
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4特 集女性の活躍が地域社会を変える44特 集 私は今から24年前、満34歳の時に大里綜合管理株式会社の社長になりました。入社して満10年でした。今ではその影すらなくなったポケットベルを持ち、そのベルが鳴るたびに何か社会的な役割を持ったようでうれしかったことを思い出します。その頃、夢中で仕事をしていた私でしたが、下記の4つのことが、私と私以外の人たちとが、真逆な考えであることを感じていました。私は「千葉県の九十九里浜にある大網白里市で、小さな会社で不動産業をしています」という自己紹介を自信と誇りを持って伝えるのですが、受け止める側は、「不動産業という職業」「地方という地域」「小さい会社」「女性という社長」を肯定的に見ていないことがわかったのです。「不動産業」は、どこに住むか、どう住むかという大事な意思決定に寄与する仕事であり、より良いくらしの元を提供する大事な領域を担い、やりがいのある仕事だと思っていたのですが、胡散臭い職業、なにかあくどいことをする職業として受け止められているように感じました。また「大網という地方」は、自然の豊かさを体いっぱい感じることのできる豊かな地域、農作物の成長を目の当たりに見ながら生活し、人々のやさしさもありがたいほど感じながら暮らせる魅力ある場所だと思っていました。地方というものは東京ではなくなってしまった大事なものがしっかりと残されているという場所であると思っていましたが、仕事する場所が東京でないことは、東京では出来ない実力だから地方なのだと受け止められました。また「小さい会社」ということも、私は小さいからこそ機動力があり、意思決定も早く小回りもきくことを常々実感していましたが、大きくなる実力がないと受け止められ、「女性という社長」についても、命を産み育てる女性の感性や能力が「決定の場」で今までにない大きな役割を果たすと思っていた私に対して、女性が継ぐしか仕方なかったと受け止められていると感じ、私はこれからしていく仕事のなかで一般にあるこの4つのイメージを変えていきたい!そう思ったことを今でもはっきりと思い出します。社長業24年という時間は、それらに時代の流れとともに、幾らかの役割を果たしたのではないかと、今回頂いたテーマを見てそう思いました。以下24年にやって来たことをご紹介します。 大里綜合管理株式会社は、千葉県の外房九十九里浜、全長66キロのほぼ中央にある大網白里市にあります。不動産の取引、 建築請負、管理業務が主な事業内容で、創立43年になります。母が創業し、私は創立10周年に入社、そして創立20周年に、二代目社長に就「地域とともに」大里綜合管理株式会社 代表取締役社長野老 真理子TOKORO Marikoプロフィール1985年淑徳大学社会福祉学部卒業後、母が設立した大里綜合管理株式会社に入社。’94年代表取締役社長(現在に至る)、学童保育を始める。2007年NPO法人大里学童KBAスクール代表。’08年千葉県男女共同参画推進事業所表彰(奨励賞)、’10年「子どもと家族を応援する日本」内閣府特命担当大臣(少子化対策)表彰、地域づくり総務大臣表彰(個人表彰)。’16年 千葉日報千葉教育大賞特別賞。女性の活躍が地域社会を変えるはじめに1大里綜合管理(株)の紹介・私の紹介2

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