View & Vision44
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6特 集女性の活躍が地域社会を変える44は小さな台所がありますが、ここで昼食を作って食べていた時、二階に上がってきた地域の方が「いいわね、大里さんは、みんなで作って食べてて!」と言われました。気づく訓練をしている私たちはなぜその方がいいわねと言われたのかを深掘りをしました。よくよく聞いてみると、「ご主人が現役でお子様がまだ同居していた時、大きなお鍋に作ってもあっという間になくなってしまうの、でも今はお子さんが出て行きご主人が退職され、小さなお鍋に作っても何日も残るのよ!」との声に、ああ、この方はお料理が好きなんだ、上手に作れるんだ!作れない今を嘆いているんだと思い、片方ではコンビニのお弁当しか食べることのできない人がいるのになあ、この2つを結びつけ、我が社の二階には昼だけやる、地域の主婦がシェフになるワンデーシェフレストランが展開されました。今年で満10年になりました。一日30食限定、一食800円。このレストランは誰も儲かりませんが、損はしません。毎日毎日「美味しかったよ」「ありがとう」という声が飛び交いとても豊かなコミュニティを作り出しています。こんな風に我が社は、気づいたことを形に変えてきました。今ではその数は300を超えています。我が社の社員さんはみな、目の前の出来事や課題に対し、お金になるかならないか、仕事であるかないかで、切り捨てたり避けたりするのでなく、大切なことかそうでないか、また、私たちにできることかそうでないかを判断し、やれることはやり始め、続けてきました。平均すると大体仕事時間の6割が本業である不動産の仕事を、4割は地域の課題解決に取り組む時間と、そんなことのできる会社になりました。私は小さな会社とはいえ社長として気づいたことがあります。それは企業の責任ということ。一人一人の人間は大きく3つの役割があります。1つは仕事。仕事を通してお役立ちをしありがとうと一緒に金をいただき、会社を成り立たせ、生活費を稼ぐということ。1つは家族を守り子供を育てるということ。そしてもう1つは地域を作るということ。私を含めた社長は自分の会社や仕事を成り立たせるために、残りの2つをいい加減にしてきました。つまり、仕事が終わるまで帰るな!などと引き換えに一人一人が責任を持たねばならない家族への地域への責任を果たせなくなり、今ある世の中の課題は社長に責任があると気づいたのです。だから、我が社のある地域の役割を担うこと、また子連れ出勤や子育てに対しての待遇を図ることで、責任を果たしたいと思ったのです。 「輝く女性が未来を創る!」こんな標語を掲げて、我が社の所在している地域では頑張る女性たちに集まってもらい「ひまわりねっと」という会を開いて来ました。女性議員さんをはじめ、市民活動をしている女性、女性経営者等が、思想や考えの違いは棚に上げて“同じ時代に暮らす女性”を寄りどころに、月に一度何か食べるものを持ち寄って約2時間、それぞれのやっていることや考えていることを伝え合って来ました。10年が経つと思います。「知り合おう、繋がり合おう、活かし合おう」をテーマに、行事や催し物の計画を立て打ち合わせをするのでもなく、ただただ集まって交流して来ました。これは我が社が関わっている地域活動の一つですが、この“ただただ集まる”ということがとても大切だと思っています。月に一度の2時間という限られた時間ですが、その時間はそのためにあるからこそ、胸の内の伝えたいことを聞いてもらえ、それぞれの伝えたいことを受け止めあうことができる。決して急がない!こんな交流の場の回を重ねてきた中で色々なものが生まれて来ました。「大網ひまわりねっと」では、地域の課題をテーマに一年に一度、市長を始め女性行政職員さんにも参加してもらう、大網白里市女性会議が開かれるようになりました。病院問題、子供の問題、介護の問題、その時々の話題をテーマに場を設け、地域で活躍されている方々に経験や課題を伝えていただき、そのテーマをもとに話し合い、提言書を出しました。「東金ひまわりねっと」では、芸術家の方を中心に地域おこしの一助にと地域にちなんだ作品を自ら作り、展示販売会をしたり、新しく出来た病院を市民として応援しようと「応援する会」が出来ました。また「山武ひまわりねっと」では以前に九州からお越しいただいた男女共同参画の講演者の家が今回の水害で壊されたことを聞き、義援金を集めておくることが出来ました。女性は誰が上か下か、理屈や建て前でなく、目の前の具体的なことを受け止め、繋がり、動くことができます。私自身この会で本音を伝えることで心が開かれ、みんなのあけすけな頑張り地域活動の一つ4

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