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7847■「大廃業時代」における中小企業支援についてのシンポジウムが開催 我が国の少子高齢化の加速度的進展により、2020年頃には、日本経済を根底で支える中小企業、その経営者(団塊世代)の大量引退期の到来が見込まれ、事業存続や生産性向上等「中小企業を取り巻く多岐に渡る課題解決」に着手する時間的猶予は限られてきている。今回のシンポジウム「大廃業時代の中小企業支援のあり方~事業の承継・引き継ぎ・譲り渡し支援~」では、厳しい社会環境のもと経営資源が制約された中小企業、その支援のあり方について、支援機関(公的機関・金融機関含む)及び元経営者の立場からの報告がなされた。具体的事例も交えた各位の報告は、中小企業の現状の問題・課題を明確にし、今後の支援の方向性を示唆するものであった。また、パネルディスカッション及び質疑応答においても、パネラー及び参加者等各々の視点から活発な議論が展開された。 内容の詳細は、千葉商科大学経済研究所発行の「中小企業支援研究」Vol.6に掲載されているのでご覧戴き、ここでは当日の概要についてレポートさせて戴くこととする。■報告(1)プッシュ型事業承継支援高度化事業(以下「プッシュ型」という)全国事務局 プロジェクトマネージャー(PM)、ミライWOつなぐ経営研究所 代表 魚路剛司氏からの基調報告 同氏からの「事業承継支援の考え方」と題した報告によれば、これまでの国による事業承継支援の推移(深刻化する中小企業経営者の高齢化に対応すべく「事業承継ガイドライン」の10年ぶりの改正、それを受けて「事業承継ネットワーク構築事業」等)を確認した後、平成30年度事業承継施策の一環として開始されたプッシュ型を概観した。全国事務局のもと、国から予算配分等の権限移譲を受けた主体的推進機能である都道府県、及び責任者となる承継コーディネーターが配置され、両者の連携を軸に支援機関(公的機関・金融機関・士業等)を介して「事業承継診断票」に基づき対話を重ね気づきを与え、最終的な個者支援(出口戦略=課題解決)に導くフローとなる。その際、支援機関は、縦軸(①顕在化/相談に来る⇔②潜在化/相談に来ない)×横軸(③資産超過/業績良好⇔④債務超過/業績不良)の4象限に分類し、早急に②×④の象限(第Ⅲ象限)にある「手が付けられていない」中小企業に“自分ごと”として働きかけ、①×④の象限に引上げ顕在化させる取組みの重要性を強調された。さらに、WHY:なぜ事業承継をするのか=地域経済の衰退抑制・地方創生に寄与、WHO:誰のために事業承継をするのか=支援機関、TARGET:対象先=潜在的な小規模事業者(第Ⅲ象限)、とする「目線合わせ」をして纏められた。(2)千葉県事業引継ぎ支援センター 統括責任者 梅澤道博氏からの事例報告 同氏からの「千葉県事業引継ぎ支援センターの事業承継支援」と題した報告によれば、平成27年7月に事業レポート2018年12月1日【千葉商科大学創立90周年記念事業】千葉商科大学経済研究所 公開シンポジウム大廃業時代の中小企業支援のあり方 ~事業の承継・引き継ぎ・譲り渡し支援~中小企業診断士(千葉商科大学大学院中小企業診断士養成コース修了)柴田 多敏SHIBATA Kazutoshiプロフィール特定社会保険労務士第一種衛生管理者/貨物自動車運送事業運行管理者柴田多敏経営労務管理事務所 代表ちばプロ有限責任事業組合(LLP) 組合員千葉商科大学経済研究所客員研究員(中小企業研究・支援機構担当)

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