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特 集EBPMと行政事業レビュー848て「次世代施設園芸拡大支援事業(農水省)」、「IoTを活用した社会インフラ等の高度化推進事業(経産省)」などを取り上げている。「離島振興に必要な経費」(以下、離島活性化交付金)については平成30年公開プロセスにおいてEBPMによるレビューの対象事業となった。はじめの当該事業の概要について説明しよう。離島振興法は昭和28年に施行された。離島の国家的役割は「我が国の領域、排他的経済水域等を保全するとともに、海洋資源の開発、利用及び保全に関する権利を確保・・・・自然環境及び生態系の保護及び保全を行う場」とされてきた。離島振興法は「離島の自立的発展を促進し、島民の生活の安定及び福祉の向上を図るとともに、地域間交流を促進し、もって無人の離島の増加及び人口の著しい減少の防止」(第1条)等を目的とする。離島振興のための特例措置としては、「補助率の嵩上げ」(法第7条)、「医療の確保等」(法第10条)、「定期的な巡回診療等への補助等、妊婦支援等」、及び税の特例として「所得税・法人税の特別償却、地方税の課税免除に伴う減収補填」(法第19、20条)などが挙げられる。また、離島振興基本方針(離島振興法第3条)によれば「自立的発展の促進、生活の安定、福祉の向上、地域間交流の促進の観点から・・・地域資源の新たな発掘及び付加価値を向上させる取組等」を進めるべく「行政だけではなく多様な民間主体の発意及び活動を地域づくりに生かす」とともに「効率的な離島振興施策を推進」する。国交省の政策体系(「政策評価の事前分析表」)上、離島活性化交付金は施策「離島等の振興を図る」の政策手段と位置付けられる。「戦略産業の育成による雇用拡大等の定住促進、観光の推進等による交流の拡大促進、安全・安心な定住条件の整備強化等の取組」を支援する。平成30年度の予算額は15.5億円で補助率は都道県、市町村、一部事務組合であれば予算の範囲内で1/2以内、民間団体の場合は1/3以内とされる。対象事業には産業活性化事業として雇用機会の創出のための戦略産品開発・輸送費支援、Uターン希望者等のための情報提供である定住誘引事業、空き家の改修などの人材受入れのための施設整備、交流促進に向けたPR映像、パンフレットの制作、イベントにおけるPR活動、観光地域づくり推進主体立上げ、滞在交流型観光のプログラム作成、離島留学、交流イベント開催及び、避難施設整備・既存防災拠点の改修等の防災機能強化事業がある。平成29年度は53市町村・229件に交付金を支給している。離島活性化交付金の活用事例としては、粟島(新潟県粟島浦村)の「直売所による産業活性化事業」(平成25年度~)がある。当該事業は「島内に埋もれている産品の発掘を行い、その産品を使用した特産品、加工品を開発して、直売所経由で観光客や島外への販売を通して産業の活性化を図った」。直売所の販売額は平成27年度約430万円、平成28年度には正社員1人、図表3:離島振興基本方針の概要出所:国土交通省

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