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特 集EBPMと行政事業レビュー1148て評価者6名のうち、事業内容の一部改善が3名、事業全体の抜本的な改善が3名となった。本レビューのとりまとめは以下の通りである。・事業全体の抜本的な改善・成果目標について、「人口が社会増加した全部離島市町村の割合」や「観光入込客数が増加した全部離島市町村の割合」のみならず、離島の現状と課題に対応した指標の追加を検討してはどうか。・交流促進事業について、観光庁とも連携して、従来の手法にとどまらず、調査分析や観光戦略に基づいた効果的な手法を検討すべき。・優先順位を付けて支援を行い、好事例を創出した上で、横展開を図るべきではないか。・事業の目標の達成状況を次年度の配分に反映させるなど、意欲ある地方自治体の創意工夫を促す仕組みを盛り込むべきではないか。EBPMの普及に向けて6離島活性化交付金については上述の通り、レビューでは「離島の現状と課題に対応した指標の追加」など成果指標(KPI)の再検討が求められた。「調査分析や観光戦略に基づいた効果的な手法」も今後検討されるべきだろう。特に離島振興のように複数省庁が関連する事業を実施している場合、「事業の基本設計であるロジックモデルや、統計・データ等が関係省庁間で連携・共有」することが望ましい。「各省庁が貢献すべき範囲や割合について認識を共有したうえで、事業の計画段階における現状把握を十分に実施し共有するのみならず、実施段階における進捗管理や、事後的な効果検証の段階においても、統計・データ等を関係省庁間で適時に共有」(内閣官房行政改革推進本部(平成29年8月))することで、事業の効果・効率性を高めることだ。「政策課題の把握、政策効果の予測・測定・評価による政策の改善と統計等データの整備・改善が有機的に連動する」EBPMサイクルにも繋がるだろう。無論、政策立案においてエビデンスが全てというわけではない。政治的あるいは倫理的な理由によってエビデンスがないまま政策が行われることもある。実際、EBPMが最も普及したとされる英国では費用対効果に基づいて医療技術評価(HTA)を実施しているものの、「客観的なエビデンスは意思決定のための判断材料の一つ」に過ぎず、社会的な価値判断などを「総合的に加味」した上で意思決定がなされてきたという。ただし、その場合であっても何故その政策が必要なのか、当局(政治家や官僚)は国民に「説明責任」を果たすことが求められる。いわば、EBPMは抽象的な理念を建前にした既得権益の政治力学を牽制する役割を担うといえる。・総務省「EBPMに関する有識者との意見交換会事務局」“EBPM(エビデンスに基づく政策立案)に関する有識者との意見交換会報告(議論の整理と課題等)”(平成30年10月)・内閣官房行政改革推進本部事務局「EBPM推進のための「行政事業レビュー」の取組について」(平成29年8月)・内閣官房行政改革推進本部事務局“EBPM推進の「次の一手」に向けたヒント集~「EBPM夏の宿題」ヒアリングから~”(平成29年11月29日)参考資料

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