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特 集EBPMと行政事業レビュー1348「本事業は、平成28年度から30年度までの3年間に国産農林水産物の消費拡大を目的として近年、健康に配慮した食生活への意識が高まっていることから注目を集めている機能性表示食品制度を農産物にも広げることで国産農林水産物の新たな市場創出を目的としたものです。しかしながら、機能性表示食品制度は申請手続が複雑であることや生産現場での認知が不足しているため、農産物でのニーズが高まっていないといった課題があります。このような課題を解決するために、本事業ではロジックモデルに記載いたしましたアクティビティの欄にある3つの事業を行っています。各取り組みごとに①、②、③とありますので、順にご説明いたします。①は、機能性農産物を活用した健康都市づくりの取り組み支援です。これは、地域のさまざまな関係者が一体となって協議会をつくり、これを利用して機能性農産物を特産物化するものです。地域における課題を抽出し、関係者が連携して事業に取り組める体制を構築した上で、機能性農産物を活用したメニューを開発し、実際に地域住民に食べてもらった上で臨床試験を行い、その試験結果を踏まえ、機能性表示食品制度の登録を目指すものです。この取り組みを通じたアウトプットとして実際に取り組むモデル地区数と新たに開発したメニュー数を設定しています。そして、アウトカムとして1地区当たり5,000万円の市場を創出することとしています。②は、機能性農産物の利用促進につながる環境整備の取り組み支援です。これは、地域の関係者がみずから機能性表示食品制度に申請できるようになるための活用ガイドブック作成や研修等を行うものです。具体的には、地域関係者がみずから機能性表示食品制度の届け出ができるようになるためのセミナーを開催することと、消費者の生活習慣データを活用することで、機能性農産物を利用した食事を消費者に提案するツールを開発し、消費者にその利用を促すための取り組みになります。このような環境整備を通じて、アウトプットとしてセミナーの参加人数や食事提案ツールの利用状況等を設定しています。そして、アウトカムとして機能性農産物等の届け出件数を20件としています。③は、外食、中食における機能性農産物活用促進調査です。具体的には、機能性農産物に関する消費者ニーズを把握するとともに、生産者、消費者双方に向けて機能性農産物への意識啓発を行いながら、実際に外食、中食で機能性農産物を提供するための課題を整理し、メニュー開発につなげる取り組みです。 農産物の品種によっては家庭で調理すると有効な機能性成分を摂取できないといった理由から、家庭で調理するよりも外食店等で機能性農産物を飲食できる環4 http://www.ma.go.jp/j/budget/review/h30/koupro/pdf/30_siryo-8.pdf、8-1。「国産農産物消費拡大対策事業のうち健康な食生活を支える地域・産業づくり推進事業」ロジックモデルアクティビティ(事業概要)事業を行う背景解決すべき問題・課題インプット(予算)アウトプット(活動実績)①機能性農産物等の食による健康都市づくり支援事業【補助率:定額】行政、生産者、事業者、研究機関及び消費者等で構成する地域協議会等が推進する食による健康都市づくりの取組を利用して機能性農産物等を特産物化する取組を支援する。②食産業における機能性農産物活用促進事業【補助率:定額】機能性農産物等を生産する側と利用する側とを含めることで、食産業における活用促進を図るための環境整備を支援するため、課題・対策・留意点をまとめた活用ガイドブック策定や人材育成研修、食生活改善ツールの開発等を実施。③食産業における機能性農産物活用促進事業【委託費】機能性農産物等を生産する側と利用する側とを含めることで、食産業における活用促進を図るための環境整備を支援するため、実証による課題調査等を実施。①機能性農産物等を活用した健康都市づくりの取組支援モデル地区の整備及び地域関係者と連携したメニュー開発(レシピ及び商品化、機能性関与成分の分析も含む)②機能性農産物の利用促進につながる環境整備の取組支援(1)機能性表示食品制度の課題・ニーズ調査、機能性表示食品制度に関するセミナーの開催(2)機能性表示食品制度の申請ガイドラインの作成(3)ビッグデータ等活用促進事業(機能性農産物を含む食事提案ツールの開発とその活用)③外食・中食における機能性農産物活用促進調査(機能性農産物の消費者ニーズ等調査、先進・優良事例の調査等)による商品・メニュー開発国産農林水産物の消費が減少するなか、健康に配慮した食生活への意識も高まっていることから、機能性表示食品制度が注目を集めている。一方で、機能性表示食品制度の特殊性から農産物での普及が進んでおらず、ニーズも高まっていないという課題がある。地域ぐるみでの機能性農産物の生産、消費拡大及びコホート検証、制度周知に向けたセミナー等を活用した申請手続きのサポート並びにバリューチェーン構築等による需要の掘り起こしを通じて、機能性農産物に関する課題を解決し、新たな市場拡大を目指すことで、国産農林水産物の消費を拡大する。アウトカム(成果目標)事業の目的予算額(百万円):H30:114、H29:173、H28:388インパクト(政策評価目標との関連)②(1)(2)人材育成セミナーや申請ガイドライン等を活用した申請手続きに向けた取組(3)・食習慣の提案及び機能性農産物等の需要予測プログラムの開発・一般提供・食生活改善ツールによる食習慣・購買活動の変化の検証人材育成セミナー、申請ガイドライン及び食生活改善ツールによって得られたデータの活用等による機能性表示食品制度への届出件数の増加【目標:平成30年度末までに新たに機能性表示食品に届出される農産物及びその加工食品の件数を20件とする】①・地域における農業及び健康に関する課題の抽出・機能性農産物を活用したメニュー提供・食事調査・健康検査(開発したメニューを用いた臨床試験(喫食によるヒト試験))による検証・機能性表示食品制度への登録申請・機能性農産物等を活用した地域特産物等について健康ブランド化の推進・機能性農産物等の市場の拡大【目標:平成30年度末までに地域健康ブランドの機能性農産物等の市場規模を1地区あたり5,000万円とする】機能性表示食品制度(機能性農産物及び機能性農産物を活用した加工品)を活用した、国産農林水産物の消費拡大③・機能性農産物の消費者ニーズや先進・優良事例等の調査・消費者へ機能性農産物等に関する情報等の周知とともに、生産者・農業関連団体及び食品関連事業者への普及啓発活動を促進・機能性農産物等のバリューチェーン構築のノウハウの抽出や市場に向けた課題解決方策の検討・外食・中食産業における機能性農産物等の需要拡大【目標:本事業で取り組む機能性農産物等の市場規模を平成30年度末までに4億円とする】図表1:EBPMによる再ロジックモデル化出所:行政事業レビューシート、農水省HP4。

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