view&vision48
16/74

特 集EBPMと行政事業レビュー1448境を整えるほうがより効果的なのではないかという問題意識に基づくものでもあります。アウトプットとして外食店等で提供できる機能性農産物を活用したメニュー数を設定しています。そして、アウトカムとしてこの市場規模を4億円創出することとしています。最後に、本事業のインパクトとして、機能性表示食品制度を活用した国産農林水産物の消費拡大を設定しています。これは行政事業レビューシート上での政策評価測定指標が食育推進基本計画に掲げられている目標の一つにある日本型食生活の実践に取り組む人の割合とされていることから、機能性表示食品制度等を活用した食による健康都市づくりの取り組み等を支援することで消費者の食に対する意識が変わり、バランスのとれた食生活、すなわち日本型食生活の普及実践を図ることで、最終的には国産農林水産物の消費拡大に寄与するものと考えています。本事業は、当初より機能性農産物に関する課題解決には時間を要すると想定していたことから、年度ごとの目標を置かず、最終年度での市場規模及び届け出件数を目標としています。29年度末での実績として市場規模は2億円、届け出件数はゼロ件と目標に及ばない状況ではありますが、健康都市づくりの事業において、本年度採択されている地域からは合計5億円以上の売り上げ目標があることや、29年度事業者から30年度中に複数届け出を計画している旨の報告も受けていることから、事業最終年度となる本年度での目標達成に向けて、事業者とともに取り組んでまいります。以上でございます5。」機能性表示食品制度とは3このロジックモデルの妥当性を議論する前に、「機能性表示食品制度」について簡単に解説をしておく必要があろう。「機能性」とは「おなかの調子を整えます」「脂肪の吸収をおだやかにします」「コレステロールの吸収を抑える」など、特定の保健の目的が期待できる(健康の維持及び増進に役立つ)ということであり、図表2が示すように、その表示ができる食品は導入年順に①特定保健用食品(1991年)、栄養機能食品(2001年)、③機能性表示食品(2015年)の3種類に分類される6。通称「特保」と呼ばれる特定保健用食品は、その機能性が科学的根拠に基づいたものであり、効果や安全性について国が審査を食品ごとに行い、消費者庁長官が許可したものである。栄養機能食品は、一日に必要な栄養成分(ビタミン、ミネラル等)などの、補給・補完のために利用できる食品であり、すでに科学的根拠が確認された栄養成分を一定の基準量含む食品であれば、特に届け出などをしなくても、国が定めた表現によって機能性を表示することができる。機能性表示食品は、事業者の責任において、科学的根拠に基づいた機能性を表示した食品であり、販売前に安全性及び機能性の根拠に関する情報などが消費者庁長官へ届け出られたものである。機能性表示食品は、科学的根拠等について消費者庁長官による個別審査を経ないという点等で、特定保健用食品とは異なっている。簡潔に言えば、最初に、科学的な根拠について国の審査が必要な特定保健用食品が導入され、次に、科学的根拠が認められた成分が基準値以上含んでいれば届け出の必要がない栄養機能食品が導入され、最後に、その中間の位置づけとして、科学的根拠を事業者自ら示して届け出をする機能性表示食品が導入されたのである。図表2:食品の分類出所:消費者庁『「機能性表示食品」制度がはじまります!』。5 平成30年度農林水産省行政事業レビュー公開プロセス、No.8国産農産物消費拡大事業のうち健康な食生活を支える地域・産業づくり推進事業(議事録)、pp.2-3。6 消費者庁『「機能性表示食品」制度がはじまります!』、https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/about_foods_with_function_claims/pdf/150810_2.pdf。

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る