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38482014年度)より約20%少ないという規模感である。市場が急速に縮小している中で印刷会社数も減っているとはいえ、市場規模に対してはまだまだ企業数が多すぎる感がある。さらに、印刷通販という新しいビジネスモデルの企業体が、市場の縮小に拍車をかけている。印刷通販とは、自分たちでデータを作成・用意する代わりに、インターネット上から簡単に、どこでもいつでも注文できる印刷サービスであり、近年では「ネット印刷」という言い方が主流である。価格に関しても、多数の別々の印刷物を大判の用紙上に並べて同時に印刷をする手法で、破格の安値で提供している。印刷通販で著名な企業は、京都の「プリントパック」と「グラフィック」、東京の「ラクスル」、鹿児島の「プリントネット」の4社が大手企業といわれている。プリントパックの売上は300億円を超えており、グラフィックも150億円を超える規模にまで成長しており、縮小している市場の中で異彩を放っている。今後はもともと多すぎる企業数とネット印刷の台頭により、さらに淘汰が顕著に進んでいくものと思われる。印刷業界の現状分析・課題と方向性印刷業も様々な業態や組織・得意分野等がある。WEBサイト「社長の味方」によると、将来への時代の流れを踏まえた際、リスクが高く注意が必要なものと、比較的安定感が得られるものとを下記のように分類している。筆者も同感であり、常日頃から下記のことには十分注意し、方向性を定めている。<リスクの高い印刷会社>1:売上の大半を数社に依存している売上の大半を特定の会社が占めている場合、その会社がデジタル化へ移行した場合、仕事が激減する。契約書類、事務伝票、有価証券などはデジタル化の方向が避けられない。こうした印刷物をメインにしている会社はリスクに備える必要がある。2:下請け専門下請けをしている会社は、今後どんどんコストダウンの要請が強まり、コスト削減策に追われることになる。3:長い付き合いで持っている大手との付き合いが「長い」という理由で受注している会社も、クライアントの方針転換により、仕事が他社に行ってしまうことが考えられる。「付き合いが長いからよく理解してくれている」と思われているうちに、データの蓄積や新規提案に力を入れるべきである。4:小口の印刷物を営業マンが手配している会社名刺からパンフレットまで営業マンが対応している会社はコストダウンができず、また、厳しい仕事を依頼されれば断れないので、生産スケジュールが乱れがちである。今後、ネット印刷のサービスが向上すると、圧倒的な価格の違いで仕事を奪われる可能性が高くなる。<比較的安定した印刷会社>次の要件に当てはまる場合は、比較的安定していると考えられる。ただし、拡大を目指すのであれば新しい施策が必要であるし、これまでにない新たな発想の転換も必要である。1:仕事の取られにくさ大手との取引があり、長い付き合い+αで、仕事が他社に行かない理由を持っているなら、今後も大きな落ち込みの可能性は低いといえる。2:新規開拓の習慣化繁忙期でも閑散期でも新規開拓する文化のある会社は、仕事が入ってくるので大口を獲得できれば安定する。ポイントは、常に誰かが新規開拓をしていることである。3:独自の知識とスキル医薬品の印刷、専門書、専門ソフトの変換など、他社が取り組みにくい分野の印刷をしている会社も安定

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