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3948性が高いといえる。歌舞伎に精通した会社では、番付のルールや宣伝物の役者の配置などの知識があるため、印刷自体はどこでもできるが、仕事が他社に行かず高い利益率で受注ができる。つまり、製造業といえども設備に依存した生産力より営業力が生き残るカギとなっているのである。印刷業界の課題1:設備の老朽化印刷会社のような設備産業では、機械の老朽化により生産性が落ちたり、故障によるメンテナンス費の増加やスケジューリングの狂いなどが挙げられる。しかし、だからといって、新規設備を導入しても採算性を取ることができない場合が往々にしてある。2:社員の高齢化社員が高齢化し若手社員の採用をしていない場合、会社としてのパワーがなくなる。営業マンの新規採用だけで工場が高齢化している場合は、営業部と工場の軋轢を生むこともある。3:営業マンの提案力不足御用聞きのように訪問して、注文が出た印刷物を手配するだけ。紙や加工のことには詳しくても、それ以外の提案ができない営業マンは、対応力だけでお客さんに頼られているので、新しい仕事を獲得することができない。4:創造性のある社員の不足依頼されたものを印刷する受注産業の形態に慣れてしまうと、自社商品の開発ができず、また、作業者だけの会社では、仕事をこなすことに精一杯で将来のことを考える創造的な社員が生まれない。これらは印刷業に限らず製造業全般に言えることだが、これらの課題の克服も踏まえて今後の展開を模索しておく必要がある。零細企業生き残りに向けた取り組みITの急速的な進歩によるペーパーレス化やライフスタイル、ビジネススタイルの変化、そしてPCやプリンターの高性能化や低価格化にともない、印刷物の減少、特に小ロットの印刷物を印刷業者に発注することが減ってきている。最小限必要とされる紙媒体も個人のPCとプリンターで十分なのである。印刷業界に限らず製造業全般に言えることだが、規模の大きさと生産力は概ね比例しており、零細企業は小ロットの受注を得意とし小回りを利かすことで大企業との差別化を図っている。ところが印刷業界の場合、ネット印刷によりその小ロット短納期という零細企業ならではの利点を完全に削がれてしまった。では、弊社も含めた零細企業は、今後どのような生き残り策を立てるべきなのであろうか。これまでの印刷業界の住み分けはネット印刷により完全に崩れた。さらに追い打ちをかけるべく、世界中の印刷機メーカーのほとんどが、オフセット印刷機の未来像を大型機による大量生産に見定め、小型オフセット印刷機から撤退を始めており、零細企業が「印刷物」という製品の製造のみで生き残りを図ることは不可能であると、弊社も含めた全ての零細企業が承知している。その中で生き残っていくには、1.大企業(ネット印刷含む)が手のまわらない苦手なことを見つけ出す。2.顧客が日頃不便と感じていることを見つけ出し、そのケアを付加価値として追加する。結局は時代がどうであれ、大小関係なく企業が存続していくためには、商売としての原点に立ち返るということなのである。窮地に陥ると、つい目先の数字に翻弄され、小手先の対策や薄っぺらな流行に飛びつきがちだが、「商売に近道なし」という格言のように組織をしっかりと固め、何を求められているのか、何ができるのかを、慌てず騒がず未来を見据えて行動することである。以上のことを踏まえ、零細印刷会社はどのような生

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