view&vision48
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4048き残り戦略を立てるべきなのであろうか。その前に、私見ではあるが、生き残りをかける上で、やってはいけない取り組みとして、「印刷からの脱却」が挙げられる。印刷の市場は小さくなるので、新しいことをやろうとする場合、「脱印刷」を掲げる会社が多く見受けられる。特に、情報収集をしている会社ほど他業種の成功事例を入手し、「脱印刷」を模索し始めるが、多くは自社の実態に合っていない。弊社のまわりの同業他社を見回しても「印刷物ではない何か」を探し始めた場合、たいていの印刷会社は業績を落としている。印刷以外の市場を探した場合、・現在の社員の活躍の場は?・誰がその事業の責任者になるのか?・今の売上を補完する規模になるか?この3つの疑問に明確な答えが出せないようなら、絵に描いた餅でしかない。あくまでも、自社のコア技術を基にして事業の拡大をするべきである。弊社の取り組みこれまでに紹介してきたとおり、ビジネスモデルの進化やIT技術の高度化が進む中、下降線を辿る印刷業界、とりわけ弊社のような零細企業がどのような経営を目指すのか。弊社も例外にもれず苦戦を強いられている。これまでは地域の企業から、名刺・会社案内・パンフレット・封筒・伝票等帳票類、商店では売り出しチラシやポップ類・ポスター・ショップカード、また求人広告や不動産広告・広報誌等の印刷物を受注していた。ペーパーレスも大企業こそ進んでいるものの末端の零細企業や商店等ではまだまだアナログであったが、ここ数年で一気に末端までペーパーレス化の波が到達した。納品書・請求書等の手書きの複写伝票や連続用紙で出力する帳票類はほぼ絶滅し、普通紙にプリンターで出力するのが主流となり、その種の製品の受注率は90%減にまで達した。そのような中で生き残っていくための答えは、「印刷物の価値を上げる」ことである。「印刷物」という商品はそのままに、付随する新たな付加価値を追加する。サービス範囲を拡大し、新たなニーズを提案していくことがベターである。先程、「脱印刷」は無謀であると述べたが、考え方としての「脱製造業」を行うべきである。これまで親子3代で細々と町場の印刷物を作っていただけの、会社といえども、「商店」のような動きしかしていなかったので、それが急に「会社」として組織を生まれ変わらせなければならず、当初は身内も含めた社員からも大きな抵抗にあった。時間はかかったが少しずつ改革も進み、単なる物を作るだけの製造業からの脱却もまだ道半ばであるが着々と進んでいる。しかし、このことに気付くことができたのは幸いであった。弊社は現在、「サービス業」「コンサルタント業」を付加価値とした印刷業へ舵を切っており、徐々にではあるが、同業他社との差別化も進み、受注数も増えてきている。顧客の経営課題の手助けができる印刷物とは何か。たとえば集客が課題であればチラシやパンフレット、カタログやショップカード、さらには看板やWEBページまで弊社で企画立案し作成する。求人であれば、求人チラシは勿論、乗合求人広告や求人サイトへの掲載も含め、ただ製品を作るだけではなく総合的な求人募集を手掛けるのである。募集から採用、採用後の研修まで含めた一連の流れの中で、コンサルタントとしての動きの中から必要な印刷物を提案し受注していくのである。そしてそれらの結果に対し分析・改良を行いPDCAを顧客と一緒になって回していくのである。その他、様々な課題に対し提案させていただいている。したがって、弊社は印刷機の台数を減らし、営業とデザイン制作に経営資源をシフトしていった。コンサル、デザイン、キャッチコピー等を外注にしてしまったら、ノウハウや知識等の肝心な部分の蓄積が出来なくなり、弊社の新しいビジネスモデルとしての構築が不可能になるため、ここは全て自社のスタッフにて賄っている。通常のコンサルタントであれば外部のデザイナーに広告デザインの発注をするが、弊社はそれをすべて自社にてワンストップで行えるところが強み

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