view&vision48
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4148である。それには、専門のコンサルタントと同等以上の知識に、これまで培ったデザイン・印刷のノウハウを積み増すことで成立するビジネスモデルなので、当然スタッフの研修には特に力を入れている。これまでは「製造」の受注に対し淡々とこなしていくだけで良かったものが、顧客より上回った知識を持って提案をしていかなければならないので、スタッフ一人ひとりのレベルアップへの苦労は勿論だが、同時に会社をこれまで以上に「組織」としてレベルアップさせていかなければならず、スタッフの研修のみならず、こちらの労力も並大抵ではなかった。また今年は、顧客からのさらなる信頼を得るために、プライバシーマークも取得した。弊社のような零細企業が日々の業務の合間を縫って取得のための準備をすることはとても大変だったが、個人情報の適切な取り扱いは印刷会社にとって必要不可欠であり、避けては通れぬものと覚悟を決めて取得することにした。しかし、このことは社員の意識改革・レベルアップという思わぬ副産物を得ることができ、とても役に立った。一人ひとりのスタッフが自分の役割だけでなく、組織全体を見ることになり、以前よりも組織そのものを自分たちで成長させるという意識が強くなった。しかし、これらの取り組みは全て「印刷物の価値を上げる」のが目的なので、ただコンサルタントとして信頼を得るだけでは不十分である。営業力を強化し顧客の経営課題を見つけ、コンサルタントとして解決策を提案するところまでで、そこから先がどこにでもある印刷会社と同じになってはダメである。そこからさらに、他社に真似できない魅力的な製品を最終的に提供し、課題が解決されるところまでで一つの商品なのである。その為に弊社では印刷物への付加価値としてコンテンツ制作にも力を入れている。そもそも印刷物には、「1.紙面に限りがある」「2.音が出ない」「3.動きがない」といった限界があり、それらの限界を超えるためのツールとして、クロスメディアで高い付加価値を創作していくのである。QRコード等を用いホームページや動画サイトへ誘導し、紙媒体ではできない情報提供をする。また、現在の弊社の得意技術でもあるが、AR技術を用いた印刷物をスマートフォンなどと連携させることにより、紙とデジタルをドッキングさせ、情報を拡張することも出来るようになった。そのような技術を用いた提案を行うために、スマートフォン用のホームページ・ランディングページ・動画サイト等のコンテンツ制作にも力を入れている。また、このようなITを活用したコンテンツはマーケティングのツールとしても活用することができ、アクセスログをもとにメルマガやプッシュ通知機能を活用し、受け身ではなく、こちらから積極的に情報発信することができるというメリットもあり、弊社でも現在積極的に提案を行っているところである。さらに今後はCSR・SDGsにも力を入れたいと思っている。これは自社のCSR活動への取り組みという意味ではなく(それはそれとして自社では行っているが)、弊社の営業ツールとして、企業がCSRやSDGsに取り組むことの重要性、そしてそれが結果的に会社にどれほどの利益をもたらすか等のメリットを説明・コンサルティングし、そのために必要な印刷物や広告物を提案するということである。これは、私がCUC経営者会議に入会させていただき、原科学長の講演を聴かせていただいたときに思いついたビジネスプランである。その後、CSRやSDGsに関する本を読み漁り、また、その後のCUC経営者会議での学長講演はもちろん、学長プロジェクト「CUC公開講座in丸の内」にも参加し、CSRについて勉強した。「大学」という、これまでの私には無かった情報源からの新たな取り組みであり、まだ現段階では商品として顧客に提案するところまでに至っていないが、もう間もなく準備が完了し、営業展開していけるところまで来ており、とても楽しみである。卒業後の大学がこのような形でビジネスと結びつくということを知った。これまでの私は学校とビジネスはそれぞれ無関係の別物と思っていたが、我が母校である千葉商科大学の、理論や机上だけでの学問を超えた「実学」というものを肌で感じることができたと同時に、大学の持つ情報量の多さや、その情報をスピー

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