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5048【…1. はじめに…】千葉商科大学(以下本学)では、2014年度より上海立信会計金融学院大学との間で、ダブル・ディグリープログラムを開始した。本プログラムにより、本学のどの学部の学生でも、1年間の留学を含む両大学規定の課程を履修し、単位を修得し、卒業研究発表を上海立信会計金融学院大学の教員の前で行うことで、両大学において学位を取得することができるようになった。昨年度までにすでに2期生までが卒業し、本年度で6期生が入学し、勉学に励んでいる。本稿では、ダブル・ディグリープログラムの意義や目的、検討段階から現在に至るまでの経緯、現在までの成果、今後に向けた課題について述べ、大学教育における国際化と多様化への本学の取り組みについて議論する。【…2. ダブル・ディグリーの現状とその意義…】2.1 ダブル・ディグリーの定義文部科学省の定義によれば、ダブル・ディグリーとは「我が国と外国の大学が、教育課程の実施や単位互換等について協議し、また、教育課程を共同で編成・実施し、単位互換を活用することにより、双方の大学がそれぞれ学位を授与する形態を指す」(文献1)「複数の連携する大学間において、各大学が開設した同じ学位レベルの教育プログラムを学生が修了し各大学の卒業要件を満たした際に各大学がそれぞれ当該学生に対し学位を授与するもの。」(文献2)とされている。また、ダブル・ディグリープログラムとは「一つ又は複数の大学が、大学、学部及び学科、又は課程等の教育上の目的を達成するために必要な授業科目を自ら開設又は共同して開設し、体系的・計画的に編成された一連の教育課程であって、学生がその教育課程を適切に修了したことを厳正に評価し、もって学位の授与又は履修の証明をすることを目的とするもの。」(文献1)となっている。ダブル・ディグリーと類似したものに、ジョイント・ディグリーがある。こちらは、「ジョイント・ディグリー・プログラムとは、連携する大学間で開設された共同プログラムを修了した際に、複数の大学が共同で単一の学位を授与するもの。」(文献2)と定義されている。連携した大学間で共同で学位を授与するので、取得できる学位は一つである。2.2 ダブル・ディグリープログラムの国内での実施状況「大学における教育内容等の改革状況について(平成27年度)」(文献3)によれば、海外の大学との大学間交流協定に基づくダブル・ディグリーを実施する大学は、平成23年度から平成27年度では、年々増加しており、170大学に達している(図1参照)。また、学生数では送り出した学生数が平成27年度で911名に対し、受け入れた学生数は3,819名となっており、ダブル・ディグリープログラムを利用する学生は、海外の大学から日本の大学の学位を取得しようとする学生が、日本から海外の大学の学位を取得しようとする学生よりかなり多い。千葉商科大学におけるダブル・ディグリープログラムの取り組みと課題千葉商科大学国際教養学部 教授日中交流学院 学院長渡辺 恭人WATANABE Yasuhitoプロフィール博士(政策・メディア)(慶應義塾大学, 2003年)2005年 千葉商科大学 政策情報学部 助教授2014年 千葉商科大学 政策情報学部 教授、日中交流学院副学院長2015年 千葉商科大学 国際教養学部 教授(現職)2018年 千葉商科大学 日中交流学院学院長(現職)

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