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5848はじめに 2019年4月からの1年間にわたり長期在外研究員制度を利用して、アメリカのカリフォルニア大学アーヴァイン校(University of California, Irvine、以下UCI)にて客員研究員(Visiting Scholar)として在籍するという貴重な機会を得ることができた。長期不在の間は、担当授業やゼミをはじめ、各種委員会等で、実に多くの先生方にご協力とご理解を頂いている。この場をお借りして、改めてお礼を申し上げたい。 本レポートの執筆時点(2019年6月末)では、渡米後3カ月足らずしか経過しておらず、こちらの状況にはまだまだ不案内であるが、受入大学の選定から準備期間を含めて、カリフォルニア州やアーヴァインの様子、受け入れ大学先での研究活動等の在外研究の経過報告をおこないたい。1 渡米準備期間1–1 受け入れ大学の選定 在外研究開始の1年ほど前(2018年3月)に、受け入れ大学の選定と居住予定地域の下見を兼ねて、実際にカリフォルニアを訪れてみることにした。 結論から述べると、1週間ほどの短い滞在期間で、実際に会うことができた研究者は、カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)のマイケル・ロス(Michael L. Ross)教授と今回の受け入れ先となったカリフォルニア大学アーヴァイン校(以下、UCI)のスティーブン・トピック(Steven C. Topik)教授の2名だけであった。その他、南カリフォルニア大学やその他の大学の客員研究員受入担当の事務員の方にも打診はしたが、研究者との面談にまでは至らなかった。 前者のマイケル・ロス教授は、石油資源開発に関して世界的に著名な研究者のひとりである。最近では石油収益と産油国の政治制度、経済成長の相関関係を論じた研究書(Michael L. Ross, The Oil Curse: How Petroleum Wealth Shapes the Development of Nations, Princeton University Press, 2013)の邦訳(マイケル・ロス(松尾昌樹他訳)『石油の呪い 国家の発展経路はいかに決定されるか』吉田書店、2017年)が刊行されている。 ロサンゼルス到着後、すぐにマイケル・ロス教授との面談を実施した。UCLAの個人研究室にて1時間ほど、雑談を交えて自らの研究内容の話をした。マイケル・ロス教授とは初対面であったが、自分の研究領域であるアフリカにおける石油資源開発に対しては非常に興味を持っていただいた。だが、なにぶん初対面であること、研究環境のキャパシティの問題や研究プロジェクトチームの事前参加が必須条件であることから、今回の受け入れは難しい旨を告げられた。当然のことであるが、事前に研究者との面識を持つことの重要性を痛感した。 後者のスティーブン・トピック教授とは、街中にあるイタリア料理店に招待され、昼食をともにしながら千葉商科大学人間社会学部 准教授吉田 敦YOSHIDA Atsushiプロフィール2006年明治大学大学院商学研究科博士後期課程単位取得。明治大学商学部助教を経て、2014年より現職。最近では、ブーシュラ・ラムゥニ・ベンヒーダ他『文明の交差路としての地中海世界』白水社(クセジュ文庫)2016年の仏語翻訳がある。カリフォルニア大学アーヴァイン校在外研究レポート

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