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6448ALは体験や現地調査など学外のフィールドを中心に実践する教育として理解されがちだが、実際、教室内で完結するものから学外での取り組みまで幅広い。例えば、教員の指導のもと、少数の学生が自らの研究発表や討論によって主体的に学習を進めるゼミナールは典型的なALのひとつである。また、近年はゼミナール以外にも、本学のように少人数制の実践系科目をカリキュラムに位置付けている大学も多い。さらに、履修者が多い大規模教室における授業でも、双方向的なALの実践は報告されている。3. 社会課題の解決に取り組む人間社会学部のAL本プロジェクトでは、産官学連携をつうじて社会課題の解決に取り組むALを対象としている。そのため、フィールドは具体的な課題を抱えている地域となる。産官学連携とは、産=民間企業やNPOなど、官=政府や地方公共団体など、学=教育機関や研究機関など基本的な使命と役割を異にするセクター間が相互理解のもと、連携・協働し、社会課題の解決を目指す取り組みである。現代社会は、社会そのものの存続を脅かす課題が山積している。このことは、2015年9月の国連サミットで示された持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が17のゴールと169のターゲットで構成されていることからも理解できる。そこでは、各ゴールをひとつひとつ切り離すのではなく、環境、経済、社会を統合的に向上させていくことを掲げている。つまり、国だけではなく、地域レベルで多様なステークホルダーが連携・協働し、それぞれが持つ資源=強みを活かしながら役割を果たしていくことが求められている。このように、産官学連携は社会課題の解決に不可欠な要素となっている。本学でも、全学的に産官学連携の取り組みを進め、大学独自の役割を果たしていることは周知のとおりである。本学は社会科学系の大学であることから、自然科学系の学部がある大学のように研究成果を還元するというよりも、教員も学生も現場に出て当事者とともに社会や地域が抱える課題に寄り添い、解決の道を模索する場面が多い。そのプロセスにおいて、学生の関わりは大きな原動力となる。産官学連携は大学が社会課題の解決というニーズに応えるとともに、そのプロセスに学生も主体的に関わることで実践的なALとしても機能し、大学側が求める教育の質的改善というニーズにも応え得る取り組みである。本学の教育方針では「やってみる、という学び方」を掲げ、ALを全面的に進めている。人間社会学部は「教材は人と町だ。」をキャッチフレーズに、実際に人と触れ合い、町を動かしながら、本物の課題解決能力を磨いていくALを実践し、地域に根差した学生主体の多彩なプロジェクトをつくり上げている。主なALは、次のとおりである。● 弘前ウェディング千葉商科大学、一般社団法人CSV開発機構、青森県弘前市の3者で包括連携協定を結び、弘前市の活性化を目的に2014年から学生のフィールドワークを行っている。2015年には、学生観光まちおこしコンテストで発表した「愛“ひろ”がり“さき”ほこる弘前ウェディング」が県知事賞を受賞した。さらに、2017年、2018年とむつ財団の助成事業に採択され、弘前ウェディングの事業化に取り組んでいる。● 山武プロジェクト千葉県山武市の地域活性化を目的に、さんむ田んぼアートプロジェクト、農業法人と連携して「ねぎドレッシング」や「ねぎピクルス」の商品開発に取り組み、販売している。また、2011年3月に起こった福島第一原発事故後、福島県飯舘村から山武市に黒毛和牛142頭とともに避難した酪農家と「山武和牛(100%)ソーセージ」の商品開発に参加した。そのソーセージは、山武市のふるさと納税の返礼品に採用されている。● 真間あんどん祭り多世代が交流できる場をつくり、地域の活性化につなげることを目的に、2015年から始まった。毎年7月に本学のすぐ隣にある真間山弘法寺にて開催され、地域住民と学生が制作した行灯を照らし、イベント企画や飲食のブース出店もある。さらに、政策情報学部と連携し、プロジェクション・マッピングや映像制作などにも取り組んでいる。来場者数は2018年:2,600名、2019年:4,200名と伸びており、市川市の夏を代表するお祭りになっている。

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