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6748 第17回ユニバーシティ・レクチャーは、2月8日(金)、丸の内サテライトキャンパスにおいて、株式会社RAUL代表取締役社長で一般社団法人エネルギー情報センター理事の江田健二氏にご登壇いただいた。■ITとエネルギービジネスの未来 江田氏は、「トークンエコノミー」(仮想通貨により形成される経済)が将来的にビジネスの主流になるとの予測から「ブロックチェーン」「スマートコントラスト」「ICO(アイシーオー)」「マイニング」の4つのキーワードを丁寧に解説。それらが近い将来に繰り広げるであろうエネルギービジネスへの可能性に言及された。また、電力業界特有の3つの壁(規制・ルールの壁、自己矛盾の壁、心の壁)を乗り越えることを前提に、今後ブロックチェーンがエネルギービジネスに浸透していくステップを次のように予測した。(1)ファーストステップ(2020年~2025年);ビットコインなど仮想通貨の活用・スマートメーターなどの機器の効率化・ブロックチェーンの活用に関する基礎研究の段階。(2)セカンドステップ(2015年~2030年);電気自動車(EV)との連携・蓄電器、家電製品などI0T機器との連携・エネルギー企業同士での直接取引の段階。(3)サードステップ(2030年~);再生可能エネルギー普及に向けた取り組み・電力の個人間(Peer to Peer)取引・消費者とエネルギー市場の直接取引の段階。 江田氏は、既存の技術を「新幹線」、ブロックチェーンを「飛行機」の移動手段に例えて、「飛行機」を活用することで、「新幹線」とは違う世界が見えてくるのと同様に、ブロックチェーンを利用することで、これまではできなかった新たなビジネス(新たな価値)を発見、創造できるようになること。要は「いま実現できていないことを実現させるためには、ブロックチェーンが活用できないか?」という視点が将来のビジネス展開に重要となることを強調された。■新たなエネルギービジネスの創造 電気、ガス会社などのエネルギー生産企業から消費者への一方通行であったこれまでの関係性は、サードステップとなる2030年以降には、生産消費者が主役となることで拡大していくであろう新たなエネルギービジネスの可能性に触れ、最後は来場者に向かって「一緒に未来を創っていきましょう!」と結ばれた。業界の第一人者でもある江田氏の著書(『ブロックチェーン×エネルギービジネス:世界の51事例から予見する』エネルギーフォーラム、2018年。他多数)の興味深いエッセンスが詰まった講話と資料から、近未来の経済活動の有り様が垣間見えた講演となった。事業レポート2019年2月8日第17回ユニバーシティ・レクチャーブロックチェーンとエネルギービジネス

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