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6848経済研究所中小企業研究・支援機構では、7月20日に、中小企業者、中小企業診断士など中小企業経営や支援事業に携わる方々などを対象に、中小企業等に対する支援策の一環として、国の補助金の有効活用などに関する講習会を千葉商大で開催した。当日は中小企業診断士などの中小企業支援者や中小企業者など、約40名の参加があり、盛会となった。1.第一部 重点政策報告本講習会では、第一部で関東経済産業局の近藤かおる産業振興課長が「これからの中小企業政策」と題した報告を行った。近藤課長は、最初に、中小企業・小規模事業者が直面する課題について概観された。その後、現在、国が重点を置いている中小企業・小規模事業者に対する政策について、各種補助金制度の内容を交えながら詳しく説明された。この内容は、事業承継支援、創業支援、生産性向上、防災・減災対策、消費税・軽減税率対策、働き方改革に関連する取り組みなど、広範な領域に及ぶものであった。特に、本年度の中心施策である生産性向上のための設備投資等の各種補助金制度の目的・条件(補助対象、補助上限額など)とその活用事例について、具体的に丁寧に説明された。なお、創業支援の中で、関東経済産業局の創業促進フォーラム2018にパネラーで参加した本学のキッズビジネスタウン®いちかわの取り組みも紹介された。同課長は、最後に中小企業が100年企業として生き残るための鍵として、①人口減少社会に対応した生産性向上対応とそのための補助金の有効活用、②防災・減災対策としてのリスク管理・BCP(事業継続計画)策定の重要性、③生産管理などにより業務効率化を図ること、④EV(電気自動車)を始めとした電子化の進展など産業構造の劇的な変化に対応して自社製品に多様性を持つこと、⑤信頼される企業になることの重要性を指摘された。補助金の有効活用を始めとした事例を交えた直近の重点施策の内容が、中小企業の経営や支援に大変参考になるものであった。2.第二部 事例報告続いて、事例報告として、秩父電子株式会社の強谷隆彦社長が「ものづくり企業における経営革新」と題して報告された。1967年秩父電子株式会社として、シリコン整流素子の製造販売を開始した(現在は行っていない)。その後、1977年にフォトマスク用基板研磨加工開始以降、各種半導体素材の研磨加工を中心とした「平面の極限を追求する半導体素材研磨加工の匠集団社」としての技術を核に、多角化・新事業の立ち上げを図りながら成長を続けてきた。2018年12月25日に経済産業省より「地域未来牽引企業」に選定されるなど、地域中核企業として地域全体の活性化にも大きく貢献している。同社の社訓は、「顧客第一、人材育成、技術の練磨」であるが、これを基に巧みに営業戦略を作成し実行されている。まず、顧客第一は顧客満足度の最大化と捉え、定形的な営業ではない、差別化のための営業活動事業レポート2019年7月20日千葉商科大学経済研究所 中小企業研究・支援機構〔講習会〕中小企業等に対する支援策に関する講習会 補助金の有効活用を中心に 千葉商科大学商経学部准教授経済研究所中小企業研究・支援機構長鈴木 直志

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