cuc_V&V_第53号
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2053とを指摘できよう。特にわが国の研究者は、研究資金さえ確保できれば、じっくり腰を据えて研究課題に取り組む環境を得ていると捉えることもできる。筆者自身への自戒を込めて、短期的な業績に拘泥することなく、より本質的な研究課題の解明に向け、挑戦的な研究方法も取り入れデータ分析を行うことで、多くの果実を得られる可能性があることを指摘し、本稿の結びとしたい。研究結果が示されたものがあった。これらの研究について、神経科学を応用した研究が進むことで、再考の余地が生まれてくることが予想される。特に海外では、徐々にではあるが神経科学を応用した研究が登場しており、わが国の研究者も早期に取り組むべき領域であるといえよう。社会科学において神経科学を応用するためには、上述したとおり研究者の支払うコストが大きいという課題はあるものの、その分得られるリターンも大きいこBrink, A. G., A. Gouldman, J. M. Rose, and K. Rotaru. (2020) “Eects of superiors’ compensation structures on psychophysiological responses and real earnings management decisions of subordinate managers,” Management Accounting Research, vol.48. 100691.Hesford, J. W., S.-H. Lee, W. A. Van der Stede, and M. Young. (2007) “Management Accounting: A Bibliographic Study,” Handbook of Management Accounting Research, vol. 1. 3-26.Tank, A. K., and A. M. Farrell. (2021) “Is Neuroaccounting Taking a Place on the Stage? A Review of the Inuence of Neuroscience on Accounting Research,” European Accounting Review, DOI: 10.1080/09638180.2020.1866634伊藤和憲(2018)「管理会計の拡張と実務適応の課題」『管理会計学』第26巻第2号、19-29頁。伊藤克容(2018)「マーケティング管理会計の展開:顧客動向の追跡と動線設計」『管理会計学』第26巻第2号、31-46頁。内山哲彦(2018)「管理会計研究・実践と人的要素の管理:統合報告を中心に」『管理会計学』第26巻第2号、47-62頁。北田智久(2016)「日本企業におけるコストの反下方硬直性」『管理会計学』第24巻第1号、47-63頁。近藤隆史・石光裕(2020)「マネジメントコントロールが将来業績に与える影響:コーポレートガバナンス情報へのテキスト分析の適用」『メルコ管理会計研究』第12巻第1号、17-29頁。元木康介・杉浦元亮(2018)「消費者神経科学の動向と展望:神経科学を消費者行動研究に役立てるために」『マーケティングジャーナル』第37巻第3号、77-103頁。森浩気(2020)「管理会計の現代的概念に関する考察:インフォーマル・コントロールの位置づけに着目して」『千葉商大論叢』第58巻第2号、241-253頁。安酸建二・中岡孝剛(2020)「アナリスト予想にみられるコスト予想」『メルコ管理会計研究』第12巻第1号、31-41頁。吉田栄介・近藤隆史・福島一矩・妹尾剛好(2009)「わが国管理会計の書誌学的研究:1980-2007」『産業經理』第69巻第3号、70-81頁。参考文献特 集社会科学におけるデータ分析

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