cuc_V&V_第54号
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39プロフィール1978年1月30日生まれ。明治学院大学大学院国際学修士、早稲田大学大学院学術修士、博士課程修了。東京工芸大学、帝京平成看護短期大学、千葉商科大学での非常勤講師、大阪経済法科大学アジア太平洋研究センター客員研究員、千葉商科大学専任講師を経て、現在、千葉商科大学基盤教育機構准教授。共著『知識ゼロからの哲学入門』(幻冬舎)他。千葉商科大学基盤教育機構 准教授枡岡 大輔MASUOKA Daisuke「アクティブ・ラーニング」として、本学園内では様々な授業・プロジェクト・諸活動が取り組まれている。地域や企業との直接的な連携や総合的な研究を商いや福祉活動とクロスさせることで、地域社会・そして自然環境へ還元される成果を生み出すことが目指されている。たくさんの笑顔と、体験と、研究の面白さが一つに結びつく。その価値は計り知れない。というのは、実際に、その価値を可視化することは難しく、したがってこれを評価することもまた難しいからである。「アクティブ・ラーニング」に限らず、学術研究及び教育は単純に「成果」として明示化されるものを生み出すことが指標となるよりも、むしろ「過程」としての役割を担うところが大きい。では「成果」の見えない取り組みをどう評価するか。この問題一つをとってみても学園における「アクティブ・ラーニング」の位置付けや価値をどう考えるかはそれなりに難しい問題である。コロナ前後でアクティブ・ラーニングの在り方はより洗練される必要性を増している。詳論を待たずとも、この点については学生にとっても、教職員にとっても、いっそ、社会全体にとっても重要な問題となっているといえるだろう。幸か不幸か、コロナが生み出した社会的な「必然的変化」―教育目的と教育方法論の合致必然性と洗練化―から目を背けることは、もはや不自然でさえある。想定され、予測され、想像されていた未来が、現在に置き換わる。その転換点に我々は今立っている。大学として、この「変化」をどう受け入れ、あるいは、それをいかなる動力にできるかが肝心である。そんなことは実はだれでもわかっている。だが、人は急な変化にしり込みし、よりわかりやすく、よりなじんだものへ、安心するほうへと自分を赴けがちになる。不安だからである。だが、変化は生命の本質である。重要なことは「根本へとかえること」そして「勇気をもつこと」であると考察する。「ウィズ・コロナでのアクティブ・ラーニング」を意識して、私は今年度の上半期の授業設計や運営に取り組んできた。活動を主とする学び方も時代や環境に合わせた実施方法が必要だからだ。外に出て、実際的な体験や具体的な活動を行うことに限らず、学園内での活動授業やオンライン・オンデマンドを活用した「アクティブ・ラーニング」の在り方を模索する必要がある。例えば、「各自がそれぞれの現場で活動し、ネットで連携して成果を共有し、相互共通の目的を達成する」授業の在り方など、もうしばらくすれば当たり前になるかもしれない。教育方法が「伝達する」ことから知的目標の達成のために「組織設計し目的を達成する」ことへと推移する中で、教員に要求されるスキルもより複雑になってくるだろう。とはいえ、まずは自分の担当科目の目的に紐づいて、自分にできることから始めるしかない。今回は特に失われつつあった〈相互コミュニケーション〉が取れる1はじめに創造性へのアクティブ・ラーニング

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