少子高齢社会における住まいの整え方とは?

2017年12月14日

現在の日本社会では、高齢化が著しく進んでいます。1970年に7%を超えた高齢者人口(65歳以上)は、現在27.3%に達し1 、概ね4割程度まで上昇すると見込まれています。
他方で、出生数はここ40年ほど減少を続け、第一次ベビーブーム(1947~49年)には250万人、第二次ベビーブーム(71~74年)には200万人を超えていましたが、2016年には約98万人と100万人を下回っています2
少子高齢化が進む中で、高齢者を含む世帯のうち、三世代世帯は1980年に約半数を占めていましたが、2016年には1割強へと減少しました3。単独世帯と夫婦のみの世帯は徐々に増え、半数を超えています。世帯の人数が減り、高齢者の一人暮らしや高齢夫婦の二人暮らしが増加しています。
上述のように、少子高齢化に伴って家族の形態が変化するとともに、住まい方についての考え方も多様化しつつあります。少子高齢化の進む現代日本社会における住まい方について概説します。


【注】

  • 1平成29年版高齢社会白書
  • 2厚生労働省による推計(2016年推計)
  • 3平成28年国民生活基礎調査

住まいの整え方(1)

高齢期における二人暮らしもしくは一人暮らしを見据えて、住まいに様々な工夫をすることができます。

まず住宅の規模を縮小することについて考えます。同居家族数の減少と共に必要な室数も減少するためです。加齢等により掃除や移動に多少の困難が出始めると、一戸建てであれば1階のみで生活できるようにしたり、集合住宅であれば使わなくなった居室を物置スペースとしたり、というように生活スペースを限定する方法をとることもあります。場合によっては、段差のない集合住宅へ移り住むこともあるでしょう。

日常生活に支障が出始めた場合、室内の整理で対応可能な部分もあります。廊下やキッチン、玄関、居室などの床面におかれているタンスや棚、日用品を片付けるだけで、つまずきによる転倒、骨折の可能性を下げることができます。一般に、高齢者が骨折すると、怪我の治療のために必要な安静が活動量の減少も副次的に引き起こしてしまいます。活動量の減少は、場合によっては認知症を引き起こす可能性もあるため、骨折予防は非常に大切です。

住まいの整え方(2)

日常生活において、歩行やトイレ、入浴などに困難が生じるようになると、福祉用具の導入や、住宅の改修(リフォーム)を検討することになります。歩行を助ける福祉用具としては、歩行補助杖、歩行器、車イスがあり、ご本人の状況に合ったものを適切なタイミングで導入、変更します。

また住宅の中には、玄関上がりがまちや浴室だけでなく、洋室と和室の間や、キッチンと廊下の間、トイレと廊下の間の段差など、数十センチメートルの大きな段差から数センチメートルの小さな段差まで、様々な段差があります。つまずきを防止するためには、段差を積極的に解消するための福祉用具を導入することも必要となります。段差を解消するための福祉用具としては、据え置き型の手すり、スロープ、段差解消機、式台(玄関上がりがまちのような大きな段差を分割して上り下りしやすくする)などがあります。住宅改修(リフォーム)によって段差を解消する方法もあり、改修工事で段差のほとんど無い屋内を実現できる可能性もありますが、住宅の構造や間取りなどによって困難な場合もありますので、施工会社によく相談する必要があります。

トイレや浴室についても、福祉用具、住宅改修、それぞれの特徴を活かして対応することができます。トイレでの困難の主なものは、立ち座りと座位の安定です。和式便器を洋式便器に変える福祉用具、洋式便座の高さを高くする補高便座、電動で立ち座りを補助する立ち上がり補助便座などで立ち座りを補助できます。改修工事を依頼して壁に手すりを設置すると、座位の安定に加え、重心の移動を腕の力で支えることができ、立ち座りの補助としても効力を発揮します。

イメージ浴室は、滑りやすいため、まず住宅改修による手すりの設置を検討します。浴室への出入りと浴槽への出入りに加え、浴槽内での支えとなる位置にも設置します。また可能であれば、浴室の出入り口の段差をなくすことも検討します。浴室内で用いる福祉用具としては、洗い場で使用するシャワーチェア、浴槽のふちに設置して洗い場から浴槽への移動を補助するバスボード、浴室内での立ち座りを補助する浴室内昇降機などがあります。シャワーの位置、浴槽の水栓の位置、手すりの位置関係に留意し、具体的な使い勝手を詳細に検討の上で導入します。

福祉用具や住宅改修は、介護保険による要介護認定を受けた場合、介護保険を利用して導入することも可能です。スロープや手すり、歩行補助杖や歩行器、車いすなどの福祉用具は、要介護認定の度合いに応じて受けられる介護給付や予防給付内で、指定されているものをレンタルすることができます。また便座、入浴補助用具など貸与になじまない福祉用具は同一種目につき年間10万円までの購入費用の給付を受けることができます。

住宅改修は、合計で上限20万円までの給付を受けることができ、要介護度が3段階上がるなどの条件を満たせば再度受けることも可能です。

介護保険の給付を受ける際には、所得に応じて、1割もしくは2割の自己負担があり、福祉用具の購入や住宅改修の費用は償還払いが原則となります。

住まいを整えるにあたって

住まいは、住む人の住まい方によって大きく異なります。安全を第一に、専門家の意見を取り入れながら、住み心地の良い住まいをご計画ください。

解説者紹介

教授 伊藤 康[人間社会学部准教授]
猪熊 ひろか INOKUMA, Hiroka
[専攻]
福祉社会学、地域社会学