学長コラム

本学の取り組みや教育活動、学生たちの活躍などの最新情報を中心に、時折、原科学長の研究テーマである参加と合意形成、環境アセスメントに関連した話題もお届けします。

皆さま、こんにちは。
今月、秋学期の定期試験が終わりました。学生たちは、学期を振り返り、次の準備に向けて有意義な時間を過ごしていることでしょう。
この時期、3年生は本格的に就職活動が始まり、4年生は来月の卒業発表を控えています。そのような学生たちの中に、2014年度にスタートした「ダブル・ディグリーのプログラム」の第1期生が4名います。今回は、本学と中国の上海立信会計金融学院(以下、立信学院)で学び、4年間で両大学の学位を取得するこの制度について紹介します。

グローバル人材の証明

グローバル化の進展に伴い、海外の大学との交流協定の締結や、海外に拠点を持つ日本の大学が増えています。各大学には、語学や異文化理解を深めるさまざまなプログラムがありますが、ダブル・ディグリーは協定を締結する日本と海外の両大学から学位を取得できることが注目されています。

海外留学は語学力を高め、異なる環境で日本だけでは得ることができない知識を広げるといったメリットがあります。留学先の大学で修得した単位を日本の大学で認定する制度もありますが、日本と海外の大学で学位を取得するとなると、以前は日本の大学を卒業後、改めて海外の大学に入学することが一般的でした。この場合、金銭的にも時間的にも負担は大きくなりますが、本学における「ダブル・ディグリーのプログラム」は日本の大学に在籍する4年間で、2つの学位の取得を可能にします。

この制度を取り入れる理由は、グローバル社会で活躍する人材の育成に他なりません。これから学生たちの就職は、国内の企業であれ海外との関わりや海外勤務を視野に入れなくてはならないでしょう。また、国内の外資系企業や海外就職の選択肢も広がっています。そこで、国際的な競争の強化に向けて企業が求めるグローバル人材である証となるのが、日本と海外の大学の2つの学位です。学位は、大学における教育課程の修了に係る知識・能力の証明として、国際的に通用するものですから、就職活動でのアピールになると言えるでしょう。

ダブル・ディグリーのプログラムから初の卒業生

本学と立信学院の「ダブル・ディグリーのプログラム」は2014年度にスタートしました。グローバル化による各国の経済的な結びつきが強まる中で、世界経済のトップへと歩を進める中国を意識し、日中の架け橋となって両国の発展を担う人材の育成に取り組んでいます。

このプログラムに参加する学生は、所属する学部のカリキュラムに加え、1・2年次には中国語や中国事情を学ぶほか、立信学院で履修する科目に関する事前学習を行い、3年次の留学に備えます。中国では立信学院での授業はもちろん、たくさんの友人を作り、さまざまな場所を訪れて文化や歴史に触れるなど、中国の理解を深める幅広い経験を積み、さらには、帰国後の4年次も中国語のスキルアップと卒業論文の作成など、両大学の学位取得に必要な要件を満たさなくてはなりません。とてもハードな内容であることは言うまでもありませんが、このプログラムから間もなく初めての卒業生を社会に送り出すことができることを、私はとても誇りに思っています。

1月27日には、第1期生4名が卒業論文発表会に臨みました。口頭発表はもちろん中国語で行われます。どの発表もとても素晴らしいものでしたが、この日のために来日した立信学院の教職員の質疑にも的確に応答する姿に4年間の学修の成果、成長を感じることができました。日本と中国は学期が異なるため、卒業が決定すれば、立信学院からの学位の授与は6月になりますが、「ダブル・ディグリーのプログラム」をやり遂げたことを自信に、身に付けた知識や能力をこれからの人生に大いに役立ててほしいと願っています。

そして、第3期生も間もなく中国に出発します。学生間の交流が続いているからこそ、本学と立信学院の良好な関係が築けています。今後も両校の交流を通じて、日中の発展に寄与する人材を多数輩出し、グローバル社会に貢献していきたいと考えています。

卒業論文発表会
壮行会