少 林 寺

「少林寺威名天下聞」

 「少林拳」で世界的にも有名になった禅宗のお寺――少林寺は、中国河南省登封県北の少室山の麓にあります。私のふるさとである鄭州市から車で約3時間の距離で、日帰りできる観光名所です。

ここは少林寺の入口(拡大画像50K)

 北魏孝文帝太和19年(紀元495年)に建てられた少林寺は、禅宗の発祥地でもあります。敷地がとても広く、気勢軒昂としている建物も少なくありません。入口に入ってから、内部の建物は幾つかのブロックに分かれており、年代のある松や檜が高くそびえていて、歴代の石碑はあちこちに散在しています。

寺院内の石碑(拡大画像66k)

 中国の拳法は古来「南拳」「北拳」の言い方がありますが、「南拳」とは湖北省にある武当山の拳法を指す言葉であり、「北拳」の発祥地はここ少林寺です。元々護身のために僧侶たちが習い始めた「少林拳」(日本では少林寺拳法という名称がよく知られているが)は、唐の太宗の時、僧曇宗ら13人が太宗皇帝の身の安全を守ったことがあるので、その功績で少林拳の名声は全国に響き、北拳の正統の元祖となりました。寺内のある部屋には、当時の武僧たちが毎日少林拳を練習する時床の煉瓦に刻んだ深い足跡は現在でも見られます。驚いたのは、現在毎日大勢の観光客が全国及び世界各地からやってくるほかに、武術を修得したく少林寺に殺到した若者も多く、寺の外には数十軒の少林武術学校はできてしまった繁栄ぶりです。子供たちは朝からも露天の練武場で「ハァー、ハァー、ハァー」と元気よく練習した様子を見て、「ほかの勉強はまじめにやっているかな」と心配にならざるを得なくなった私でした。ちなみに私が少林寺を見学した後の去年の9月1日、第5回「国際少林武術節(国際少林拳選手権大会)」という大型イベントもここで開かれたそうです。

羅漢たちが少林拳を練習する風景の塑像(拡大画像147K) 

 寺院の西には、「塔林」と呼ばれる煉瓦制の舎利塔が二百十八基建てられています。歴代に住職の舎利は中に眠っているということです。中国でも珍しい風景のため、何回も映画のロケ地として使われたことがあります。


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