人が集まるまちづくりとプロモーション

榎戸ゼミ

人が集まるまちづくりとそのプロモーションは、世界中の都市において重要な政策的・経済的課題となっています。本ゼミは、都市空間のデザインおよび集客・ツーリズムの観点から、人が集まる魅力的な都市やまちに関する計画論・デザイン論とともに都市の表現やプロモーション、マーケティングなどのソフト戦略についての研究を行います。

学びのステップ

  ゼミナールII(3年次) まちづくりの企画立案をする!
まちや地区での実地調査を継続しながら、研究対象地区における問題を特定し、解決のための課題設定を行い、具体的な問題解決案を作成します。また、具体の地区、都市開発プロジェクトに関する企画を作成し発表します。
ゼミナールI(2年次) まちづくりの調査、研究能力を養う!
実践について学ぶために国内・海外の先進事例について調査した上で、実際に都市づくりの現場を訪れ、情報収集や分析能力を養います。同時に、文献読解、イベントへの参加などを通じて、まちづくりとそのプロモーションに関する問題を発見する力、課題を設定する力を養います。

まちづくり研究への熱意

武川茉由さん

3年生の武川茉由さんは、2年生の秋学期から榎戸ゼミナールを受講しています。地域に関わる研究に興味を持ち、最初のゼミナール選択時には、地域の魅力を伝えるための冊子制作を課題とするゼミナールに所属していました。そこでの冊子制作をきっかけに、別の角度から地域活性化について学びたいと思うようになり、まちの魅力をプロモーションすることに加え、「まちづくり」や地域が持つ問題を解決するための研究をする榎戸ゼミナールへ移ることを決めました。

まちづくりの知識とIT技術をかけ合わせて、都市開発に取り組みたい

榎戸敬介教授

もともと地域に関する研究に興味を持ったのは、2年生の春学期に榎戸先生の「都市計画入門」という授業を受けたからでした。その時の課題が、まちの中の「良い道、悪い道を探す」というものでした。例えば、移動するための通路という観点であれば「良い道」だったとしても、道沿いに立ち寄れるお店や景観をよくするた めの植木がない場合には「悪い道」とも捉えられます。そこで、まちづくりにはさまざまな観点が必要であることを学びました。

榎戸ゼミナールでは、都市計画の基礎知識や専門用語を学びつつ、まちづくりに関する文献を読み、都市開発についての理解を深めています。海外の事例を知るために、時には英語の文献を読むこともあります。また、さまざまな国内外の事例について、ゼミ内で気になる点や疑問点を話し合ったり、川越や有楽町などでフィールドワークを行い、まちづくりとしての成功ポイントや課題を見つけ出したりもしています。

実は、今私が住んでいる地域では、駅の近くにショッピングセンターがオープンするなど、都市開発が行われています。少しずつ発展していくまちの成長過程を側で見られることが嬉しいですし、せっかく開発中のタイミングに居合わせているので、このまちの開発を論文の研究対象とすることも考えています。

榎戸ゼミナールでまちづくりを研究することを通じて、物事を多角的に捉えられるようになりました。私には、ゼミナールで得たまちづくりの知識に加え、メディア情報コースで習得した「Adobe Illustrator」や「Maya」といったデザイン系のアプリケーションを扱う技術があることも強みだと考えています。将来は、これらをかけ合わせて、IT技術を駆使した都市開発に関する仕事をしたいと思います。

どんなゼミ?

本ゼミナールは、3年生が私を含めて2人、2年生は7人とこじんまりしているので、いつも1チームでひとつのことに取り組んでいます。学年、男女問わず仲良くてアットホームな雰囲気です。榎戸先生は、私たちがどんな意見を言っても絶対に否定せずに何でも受け入れてくれます。これは、先生がいつもおっしゃっている「都市プランニングの政策はまず、人々の意見を聞き、受け入れる」を、体現してくださっているのだと感じています。さらに、私たちの意見に対して違う視点を与えてくれることもあり、視野が広がります。

教員の声

榎戸敬介教授

本ゼミナールでは、まず、文献を読んで知識を得た上で、「魅力的なまち、嫌なまちとは?」「似たようなまちなのに、人口が多い所、少ない所があるのはなぜ?」といったテーマで議論をします。その後のフィールドワークでは、例えばイルミネーションや夜のマーケットを見学し、その空間がどんな風に使われているのか、どんな人が来ているのか、普段とは何が違うのかなど、ある視点を持って実地でまちづくりに触れることで、都市に対するセンスを養います。また、自分ごととして公共空間のあり方を考えるようにします。
まちづくりには、デザインや建築の技術、安全面を確保することなど、さまざまな知識やスキルが必要です。特にこれからの時代、デジタルスキルが欠かせません。学生たちには、まちづくりの理論に加えて、専門技術を持つことで高度な人材となることをめざしてもらいたいと思っています。政策情報学部には、デジタルを研究するための設備、環境、教員が揃っていて、他のゼミナールとコラボレーションをして研究を進めるといったことが可能です。これは本学だからこそできる学びのスタイルだと思います。
武川さんは、リーダー的な存在となってゼミを引っ張ってくれています。まちづくりの研究に熱心な上に、積極的にデジタルの勉強もしていて、下級生に教えている姿を見かけます。とても頼りになる存在です。