地域の歴史・文化・民俗の研究とそのプロデュース

朽木ゼミ

歴史や文化が好きな人、小冊子を作ってみたい人、地域貢献をアピールポイントにしたい公務員志望の学生が対象です。本ゼミナールでは、大学及びその周辺に残る文化の痕跡をたどりながら、地域文化の多様性・独自性について理解を深め、その結果を外部へ向けて冊子として印刷・刊行します。

学びのステップ

    卒業研究(4年次) 自由なテーマで卒論を完成させる!
それぞれの興味関心に基づき、卒業研究の完成に向かって、自らの方法論を深め、フィールドワークの技術を鍛える。卒論にしたいテーマは、履修者が分野を問わず自由に選ぶことができる。
  ゼミナールII(3年次) 独自の研究を開始する!
参考文献の探し方、論文の書き方、調査写真の撮り方など卒論に役立つスキルを身につける。また、ゼミIの活動に積極的に関与するとともに、後輩学生を指導して、地域紹介冊子の完成をサポートする。
ゼミナールI(2年次) 研究力の基礎を身につける!
大学の外に出て、地域と大学の関係を自分なりに探検し、紹介する。また、フィールドワークを通じて、卒論に向けての研究力を身につける。身につけた研究力は、ゼミナールIIで各人自由なテーマで研究する際の基礎となる。

地域の人にスポットをあてた媒体を作りたい

大石さん

大石果菜さん(3年生)は、高校生のころから松戸の市民活動サポートセンターで、中高生がボランティア活動の楽しさを伝える冊子制作事業の支援やイベント運営など、地域の中でさまざまな活動を行ってきました。活動を通じて地域の魅力を発見したり、地元の方々と一緒に、まちをより良くするために動いたりすることが何よりも楽しいと感じています。この活動をきっかけに、「地域の人にスポットをあてた媒体を作りたい」という強い想いを抱き、朽木ゼミナールでの冊子作りに取り組んでいます。

編集長としての視点

朽木ゼミ

編集長として『とことこ鎌ケ谷』の制作に取り組んでいます。朽木ゼミナールでは、これまで市川市の魅力を伝える冊子を制作してきましたが、今回初めて市川市以外の市を取り上げました。鎌ケ谷市は人口規模が小さいですが、小さい市ならではの魅力がありますし、それらを発見するやりがいも感じています。

制作体制としては、4~5人ごと9つの制作チームに分かれ、チームごとに取材先を担当し、記事に仕上げていきます。編集長の仕事は、総勢約50人から成る全チームの進行管理、原稿の校正、表紙や目次の制作などを行いつつ、制作が遅れているチームのフォローを行います。また、各チームでうまくいっていないことや不満をヒアリングして解決策を一緒に考えるなど多岐に渡ります。常に全体を俯瞰して見ていないといけないので大変です。

取材先の確保に苦労しているチームには、今でも個人的に続けている鎌ケ谷地域での活動を通じて知り合った方々を紹介することもあります。冊子制作を通じて、ゼミ生と鎌ケ谷の人へ新たな出会いを提供することで、そこから面白い取り組みや関係が生まれることもあります。ですので、こうした人と人とのつながりを大切にしています。

編集長という立場に立った今は、自分1人で作業を進めてしまう前に、まずはゼミ内のメンバーとコミュニケーションを取るように心がけています。「誰に取材すべきか」「どんな話を聞くべきか」「何を取り上げたら面白くなるか」など、メンバーに問いかけて一緒に考えるようにしています。コミュニケーションを繰り返すなかで、メンバーが成長していく姿を見ると嬉しいですし、私自身も成長したと感じられます。

ゼミでの活動を通じて、地域に関わる仕事をしていきたい気持ちが高まりました。地域に密着して活動するからこそ分かることがあります。効率や売り上げ第一ではなく、地元の人の想いやまだ誰にも知られていない地域の魅力が大きな価値を生み出せるのでは、と気付かされました。将来は、地域と人のつながりを大事にしながら仕事をしたいと思います。

どんなゼミ?

ゼミ風景

ゼミ選択時、朽木ゼミナールは希望者が多く、レポートを提出して選抜されたゼミ生で構成されているので、モチベーションの高い学生が多いと思います。朽木先生は、私たちが選んだテーマについて深堀りするようにアドバイスをくれ、方向性を示してくれます。また、ゼミの授業中は各チームがかわるがわる先生に質問したり、チームごとに話し合ったりと常に周りとコミュニケーションを取りながら冊子制作を進めています。

教員の声

朽木先生

最初の講義で、冊子制作の「型」となる作業の流れや体裁の整え方などは説明しますが、基本的には学生主体で動いてもらいます。取材先を探し出してアポイントメントを取るところから、何か問題が起こってそれを調整するのも学生自身が自分で解決します。また、参考文献を読むことも大切にしています。1つのテーマに対して、約20冊の文献を読む必要がありますが、国会図書館の利用方法や文献の選び方などを教えたあとは、学生が自分たちで文献を選びます。学生には、一つひとつの苦労を乗り越えて、冊子を完成させる経験を積んでもらいたいですね。制作を通してさまざまな人と関わるので、そこで身につくコミュニケーション力も彼らの武器になると思います。
大石さんは、本人も自覚しているようですが、すべてを自分で解決するのではなく、意識的にメンバーに仕事を割り当てるようにしていますね。本当によく編集長という大役を務めていると思います。
冊子制作は、何もない「ゼロ」からモノを作ることになります。そこで何を伝えるのか、伝えるためにどんな要素をつめこむのか、発見していく喜びもあります。私も学生たちと一緒になって学び、モノを作り上げていく喜びを分かち合っています。