RSS中小企業支援研究創刊号
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INTERVIEWけではどうしても弱い。そこで関連する事業をやってみよう、興味があるからやってみよう、おもしろそうだからやってみよう、お客様が楽しんでくれそうだからやってみよう、と。まずはその気持ちを持ってスタートしました。現在では、お菓子の他に飲食、農産物、ブライダルなどの事業を行っています。その他にもフラワーセンターをテーマパークに変えた「ハイジの村」や忍野村にある「山梨県立富士湧水の里水族館」などは、山梨県の指定管理企業として運営を行っています。失敗は将来の糧前田 御社は積極的な事業展開を行ってこられましたが、失敗のご経験はないのですか。中丸相談役 いろいろやっていますからそれなりにありますが、まず、そのようなことを失敗と思わないこととしています。いろいろな事業を、初めてだからという理由でそれぞれ専門家に入ってもらい経営をしていたらどうでしょうか?自社のノウハウの蓄積はできません。そこで、まず、何事も自分でやってみることが大事だと思います。うまくいかなくても、そのノウハウの蓄積が将来の成功のためのプラスになります。その積み重ねが今日の当社の経営のノウハウとして活かされていますし、今後の新しい事業展開にも活かされます。常識はずれを恐れるな前田 先ほど工場を見学させていただきましたが、これは、いつ頃から始めたのですか。中丸相談役 かれこれ20年くらい経ちますかね。実は、この工場は最初から工場見学ができるように建設しました。当時は、自社の製造現場を見せることは周りから非常識と言われました。ですが、製品が出来上がる工程を見ることってとても楽しいことではないかと思ったのです。私が楽しいと思うのですから多分お客様も楽しいのではないかと思い、工場見学を始めました。このような工場見学を行ったのは、当社が先駆けだと思います。また、当社のブランド商品である「桔梗信玄餅」もそうなんです。昭和43年、お餅、きな粉、黒蜜を風呂敷包みにした、全国どこにもなかった形のお菓子で、現在の桔梗信玄餅を発売したとき、同業者や周りの人たちから「あんな変なものが売れるわけがない」、「非常識なお菓子だ」などと言われました。でも、発売と同時に『山梨の新しいみやげ、ふるさとの味』というキャッチフレーズで大きな反響を呼び、2~3年後には全国各地でいくつもの類似品が生まれるほどのヒット商品となりました。工場、土産店に併設してつくったアウトレット1/2で、詰め放題のイベントを行うことや半額セールで売ることも当時は非常識だと言われました。これもただの安売りではだめです。お客様にとって価値があるかどうか。魅力があるかどうかですね。例えば10日間の日持ち商品で賞味期限が過ぎれば廃棄することになりますが、7~8日目の商品を半額で店頭に出します。そうしますとお客様のほうで御自分の家で食べる分はこの半額セールを利用し、お土産品として購入する場合は正規の商品を利用されるなどします。このようにお客様のほうで当社の商品の利用価値を見出して頂いていると思います。これまでの常識にとらわれることなく、真実を求めていきたいと思います。写真上=桔梗信玄餅詰め放題、写真下=アウトレット商品23中小企業支援研究 Vol.1

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