RSS中小企業支援研究創刊号
33/60

2.館山市中心市街地の課題館山市中心市街地には、他の商業地では発見することのできない、有形・無形の独自性あふれた雰囲気(環境)が存在している。しかし、その中心的環境イメージの一つである≪南総里見八犬伝ゆかりの城下町≫を、銀座通りを中心とした中心街区のイメージとして定着させることができず、訪れる人々に対し特色のないまちとして受けとめられている。近年、里見氏の歴史文化の伝承を目的に、「全国手づくり甲冑サミット」を開催するなど、「里見の里」としての特性を打ち出そうとする意識が強まっている。商店経営実態調査において、商店経営者の考える都市のイメージアップを図る上で必要と思われるものとして、「観光対応の商業地づくり」(39.6%)、「歴史・文化を活かしたまちづくりの推進」(36.8%)が1位、2位を占めている。一方、買物動向調査にみられるように、「車が多くて買物が危険」という意見も多い。このため、館山市を訪れる多くの観光客が街を楽しんで回遊してもらう仕組みをつくることが必要といえる。館山市中心市街地の今日的なまち環境問題は、「里見の里」という館山のイメージが未確立であるという現状認識を打破し、「人と人、里見の城下町としての交流環境(もてなし環境)をいかにつくり上げていくか」に集約できる。このような視点から中心市街地の課題は次の3点に集約できよう。(1)コンパクトシティ構想大型店の立地を規制する都市計画法上のゾーニングは、原則として個々の市町村単位で実施するものであり、周辺市町村や都道府県の意向など広域的な視点が反映されにくいこと等から、市町村にとって活用しやすい制度とはなっていなかった。一方、人口減少に伴って市町村の税収の減少が予測される現状では「持続的な自治体財政」は成り立ちにくい。更に高齢化によりまちの担い手が減少し、車社会の進展に伴って住民同士の顔なじみ関係が崩れる中では、中心商業地の「社会・文化の継承」はもとより、顔なじみ同士の協力関係である「コミュニティの継続」すら困難となっている。【基本的な方向性】【施策の方向性】コンパクトでにぎわいあふれるまちづくり人口減少社会の到来高齢化の加速化コミュニティの維持商業のみならず、歴史・文化、防犯・防災、介護・保育教育、環境等を含めた価値創造が重要まちづくりに関する環境変化に対応した新たな制度設計将来的なインフラ維持コストを含めた中長期的な都市構造の全体像を描く必要性あり持続的な自治体財政様々な都市機能の市街地集約(まちのコンパクト化)中心市街地のにぎわい回復(コミュニティとしての魅力向上)一体的推進図表 コンパクトシティ構想31中小企業支援研究 Vol.1

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です