RSS中小企業支援研究創刊号
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調査報告このため、「持続的な自治体財政」及び「コミュニティの継続」は、我々の生活の舞台である「まち」を確実に運営し、更に豊かなものとする上で極めて重要であり、「コンパクトシティの運用」こそ、行政・支援団体の指針となるべきものであろう。このため、コンパクトシティ構想は館山市中心市街地のまちづくりにも影響を与える。(2)回遊の仕掛けづくり館山らしさ――いわゆる館山アイデンティティといわれるものは新しくつくり上げていくものではない。今まで築き上げてきた、この地に存在するあらゆるものを今再び組み立て直し、再生することからスタートすることと認識すべきである。館山の中心市街地、中でも館山駅東口の中心街区のまち環境の特性は、「里見の城下町」に集約される。この特性を人々、特に訪れる人々にアピールするものとして組み立てる手がかりは、一方向からの取り組みではなく、多面的な視点で重層的に組み立て直すことが必要である。その視点をここでは「回遊」という、まちのつながり、拡がりからのまちづくりとして捉えたい。(3) 館山駅東口、西口の一体的発展館山市の中心街は、駅東口に位置する館山銀座通りを中心に発展し、旧安房郡市随一の繁華街として栄えてきたが、そのよき時代に歩道の整備や個店の改装など環境整備への投資を避けてきた。一方、西口においては、鏡ヶ浦通りが整備され、館山夕日桟橋も完成、渚の駅もほぼ完工し観光のメッカになりつつあり、渚銀座の整備も期待される。これからは、旧中心街である東口の優先的整備が期待され、東西アクセス道路の向上策と併せて、館山駅中心街区の一体的整備による発展が待たれる。3.館山市中心市街地整備構想(1)都市計画道路の早期実現による歩道の整備●北条安布里線(2・3・6)の整備館山市街を二分する幹線道路で、県立文化ホールから千葉銀行館山支店を経由して北条桟橋に至る現状の道路は幅員8mで、市歩道がない。渚の駅を含む鏡ヶ浦に観光客や近隣市町のバスや乗用車を沿線住民の安全を確保するため、速やかな着工が待たれる。●八幡北条線(3・5・8)の12m都市計画道路による歩道の設置銀座街区を通過するこの道路の歩車道区分と道路の拡幅により、買い物環境の飛躍的向上を図る。12m道路のパターンは右図のような基本パターンが考えられる。道路幅員が2.5m(両側)では、やや狭い感じもするが、各店舗のセットバックへの負担を少なくし、合意しやすい線形を優先した。(2)小さな集客アンカー施設●小さな集客核施設商店街の回避性を高めるためには、商店街区の中に人々を引きつける小さな文化的核施設が求められている。特に館山ゆかりの里見八犬伝にちなんだ美術館や当地で広まっている手づくり甲冑に関連するミニ博物館などの核づくりは買物機能だけでなく観光客への来街を促す動機2,5003,50012,0003,5002,50012m道路・歩道設置のパターン例32中小企業支援研究

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