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16木原:歴史のある会社だからこそ、主要顧客である米農家のニーズをよく伺って、新規事業を展開していくことで、顧客のニーズを満たして、顧客とともに発展しているということがわかりました。新規事業には多くのリスクがありますが、どのようにして様々な事業を具体化されているのか、ヒントを教えてもらえないでしょうか。羽生:当社には、「農家と共に」という理念がありますので、米農家のためになる新規事業しかやりません。儲かりそうだからと言って米農家のお客様と関係ないビジネスに手を出さないようにしています。結果として「新規市場に新規サービスで参入」ということは絶対に行わないため、リスクも低減しています。また、新規事業に参入する場合も、少額でかつ出来る範囲にとどめています。「ドローン事業」においても、今のようにドローンが普及する前からアイディアはあり、「ラジコンヘリで農薬散布」ということを元々考えていました。しかしラジコンヘリは、当時、1千万円以上の投資になるので参入はしませんでした。5〜6年前からドローンが普及してきて、百万円前後の投資で農薬散布が出来ることが分かったため参入しました。事業部も、「ドローン1台」と「担当者1名」から始めて出来る範囲で進めてきました。当社には、既存の米農家のお客様がいますので、いい商品をお客様に紹介することで、確実に売れるという考えがあります。商売の基本としては「損して得する」ということを考えており、新規事業はお客様にどんどん紹介し、お客様に得をしてもらったうえで、当社にも利益が出るようにすることを考えています。このように考えてビジネスを進めることで、既存の米農家のお客様も当社のサービスに信頼を寄せていただいていると感じています。事業が 大きくなれば追加投資をして拡大していくことでニーズに合ったビジネス規模を保つようにしていました。また新規事業は、否定的に考える人もいて足を引っ張る人もいますが、そのような人のことは聞かないようにしています。当社の新規事業のアイディアは、「農家と共に」という理念があるため、「正しいことをしている」という考えがあります。正しいことをしていると、顧客はついてきてくれますので、安心感を持って新規事業を進めることが出来ます。木原:新規ビジネスは、ニーズの情報収集が大変だと思いますがどのようにニーズの収集をしていますか。また、社内では新規事業をどのように具体化していますか。羽生:新規ビジネスのニーズは、世間話から始まることが多いです。そのため、「新規ビジネスのニーズ収集」として身構えても集まるものではなく、普段の何気ない会話からヒントを探して、顧客のニーズを考えるようにしています。また、私の考えたアイディアを従業員に直接伝えても、一方向では十分に理解をしてもらえないので、事業化するのは非常に困難を伴うと感じています。そこで、最近は「新規事業戦略部」にアイディアを伝え、事業の具体化旧佐原市の街並み 水路沿いに古い家屋が残っている整理整頓された工場内部新規事業は小さい投資から初めて大きく育てる

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