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45④ 下請け業に専業し、自社製品を有していない。⑤ 特許を有していても訴訟で勝てない。しかし、ニッチトップの中小企業においては、多くの特許出願を行う企業があり、ここではニッチトップの中小企業の出願の特徴をパテントマップで解析してみる。以下の企業を例に、パテントマップにより、出願の特徴を解析してみる。IPCごとの構成比の円グラフをIPCごとの構成比マップと呼ぶ。図表4では、A社のIPC分類ごとの出願件数の累計の構成比を表している。このように、構成比が大きいものほど、その企業の重点の技術分野と考えられ、企業の強みを理解することができる。A社の特許としては、主力のa製品(G02C)、b製品(A63B)、c製品(A61F)の製品関連の出願で約70%を占めている。大手企業では、分散する傾向にあるが、中小企業の出願においては、このように主力製品の出願で多くを占める場合が多く、A社においては、強みである自社の技術を大量に、蓄積していることがわかる。図表3 中小企業の特許出願件数の推移出所:特許行政年次報告書2020年図表4 IPCごとの構成比マップ4.パテントマップからみる中小企業の出願の特徴 IPCごとの出願数の円グラフを出願件数推移マップと呼ぶ。この出願バブルチャートのIPC分類ごとの特許数は、その分野での製品の種類数、研究開発人数と、予算等に比例する。その為に、その企業の研究と設計開発の推移を知ることができる。図表5に示すように、A社の特許出願は、主力のa製品(G02C)は、ほぼ毎年出願して、近年も特許出願を伸ばしている。同様にb製品(A63B)、c製品(A61F)も、ほぼ、毎年、出願しており、こちらも、研究開発をしっかりと行っている。大手企業では、各IPCに関連する技術開発・製品開発は、年ごとに出願数のノルマが決められる傾向があり、各年での出願数の変動が少ないが、中小企業の特許出願としては、大きな変動が良く見られる。しかし、各年の合計の出願数は変動が少ないことがわかる。A社においては、強みの技術の特許を毎年出願し、技術の蓄積が成されていることがわかる。円グラフ(IPCごと等の出願数)の塊をIPCごとの出願ポジショニングマップと呼ぶ。横軸に長期増減率、縦軸に短期増減率を示している。増減率であるので、中心にあれば、毎年、安定的に出願されており、横の右側に来ると、長期的に出願数が増加していることを示す。縦の上側に来ると、短期的に出願数が増加していることを示す。一般的には、中心付近に出願数が多いメインの事業の特許群があり、右上に4.1 IPCごとの構成比マップの特徴4.2 IPCごとの出願件数推移のバブルチャート4.3 IPCごとの出願ポジショニングマップ

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