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46研究開発を加速させている事業の特許群がある。図表6に示すように、A社の特許のa製品(G02C)、b製品(A63B)、c製品は(A61F)、偏光性能、紫外線カット性能、高視認性技術などは、A社の基幹となる技術群と考えられる。大手企業では、累計の出願数が多い大きな特許群が中心にあり、複数の中程度の大きさの特許群が分散する傾向にあるが、中小企業の出願においては、このように主力製品の大きな円が中心付近にあり、技術開発を集中させて出願する傾向にあり、A社では、a製品、b製品、c製品の技術開発を順調に進めている。特に最近は、c製品(A61F)の開発を推し進めていると考えられる。図表6 IPCごとの出願ポジショニングマップ図表5 IPCごとの出願件数推移のバブルチャート 5.まとめ以上のように代表的なニッチトップの中小企業の公開された特許出願をパテントマップ化し、解析することにより特許出願の特徴を見てきた。「IPCごとの構成比マップ」においては、少数のIPC分類で大半の構成比を占めることが多く、「IPCごとの出願件数推移のバブルチャート」においては、大きな変動が良く見られるが、各年の合計の出願数は変動が少ない傾向にある。「IPCごとの出願ポジショニングマップ」においては、累計の出願数が多い大きな特許群の円が中心付近にあり、技術開発を集中させる傾向にある。他の複数のニッチトップの中小企業の特許出願をパテントマップにより調べた結果、このA社の例と同様な傾向を見ることができた。出願された特許を詳細に読み込むと、製品の保護の出願が多いことから、中小企業での特許出願は、自社の製品を特許で防衛することが目的の要素が大きいものと考えられる。中小企業診断士は、中小企業の診断で、その企業の基盤となる技術や、強みを評価する場合において、特許調査とパテントマップの構築によって、基盤となる技術を明確にし、技術動向を把握することも、重要であると筆者は考える。

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