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中小企業研究・支援機構が設置されて3年が経つ。この間、学内外の様々なかたからの支援があって、ここに『中小企業支援研究』第2号を発刊する運びとなった。これも現在の齊藤壽彦機構長の学内外における尽力の賜と言っても良いだろう。本機構では様々な活動を行っているが、今年度は、勝浦市と千葉商科大学経済研究所との包括協定の下で勝浦市総合活性化調査事業の一環として「勝浦市こども朝市」を平成26年9月28日(日)に勝浦市朝市のなかで実施した。この企画に関係するかたがたも多いのであるが、本学中澤興起教授と近藤真唯専任講師が本学の学生たちを指導・支援して実行されたことがこのイベントの大きな成功要因のひとつといえる。開催前には学生たちが小学校を訪ねて説明し、開催当日は学生たちも早朝から準備にとりかかり、お子さんたちが来場されてからは大きな盛り上がりを見せ、歓声が上がっていた。終盤には、お子さんたちの「まだやりたい」という声に押されて、朝市がおおかた終わった後も継続し、撤収が終わったのは午後2時半頃であった。お子さんたちと一緒に来られた保護者の方々、小学校の先生方も楽しそうに見ておられた。暑い日差しが注ぐ中、学生たちはがんばり、周りで見ていた関係者もおおいに日焼けした感があった。このように、理論的な研究ばかりでなく、地域との関係性を重視しながら、またフィールドワークを行いながら、中小企業研究・支援機構は活動を進めてきたわけであるが、これからもこの路線を踏襲して中小企業研究・支援機構が発展していくことが社会へ貢献し、さらには本機構が社会からの認知度をあげていく道だろうと考えている。もう一つ現在進行中であり、しかもその速度を上げて実施していくことが必要であると認識していることがある。それは、中小企業経営者の経験、経営のノウハウ、経営の要諦、あるいは社会との関係性をアーカイブするということである。中小企業という基盤があっての日本経済ということを考えた場合、中小企業の経営者が経営に関連するこれらのことを語っていただけるうちに、アーカイブしたいものである。社会にはアーカイブしておきたいものはいくつもある。各地の生活文化、風習、伝統芸能、祝祭など多数あり、それらは各地の人たちによって、あるいは研究者によって保存されたり、アーカイブされたりしてきている。中小企業の経営もその一つであると考えられるが、これまでそのアーカイブについてはあまり意識されてはこなかった。大企業であれば、社史や研究成果として記録に留めることも可能であるが、中小企業の場合、暗黙知として次代に継承されれば良いが、それでも限界があるし、ましてや中小企業が廃業するという場合にはなかなか記録されないだろう。意思を持ってそれらを記録するということが重要である。もちろん、我が国にはおよそ400万社あるといわれている中小企業であるから、そのボリュームに対してアーカイブする側の資源は余りにも少ないといわざるをえない。本機構に在籍あるいは関係し、インタビューを行って要領よく記録する人的資源は限られている。また、大学を取り巻く環境が厳しいということもあり、予算も限られている。しかし、それでも限られた制約条件のもとで、これからも方法を工夫しながら積極的にこの活動を展開していく必要がある。その成果の一端がこの『中小企業支援研究』および別冊に掲載されている。したがって、この一点に限ってみても第2号が発刊される意義は大きいと改めて感じる。千葉商科大学商経学部 教授経済研究所長上山 俊幸中小企業研究・支援機構への期待巻頭言1中小企業支援研究 Vol.2

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