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時事解説例えば、保険契約者が会社の場合、保険料を損金算入が可能なことや、死亡退職金を支給決議することで、債務として計上され純資産価額を引き下げ、結果として自社株式の評価引下げ効果となる。次に、死亡保険金や死亡退職金は相続人側から見ると相続人1人当たり500万円の非課税枠をそれぞれに活用することができる。また、死亡保険金や死亡退職金は遺産分割時には「みなし相続財産」であり遺産分割協議の対象外となる。②相続財産の売却ステップ1の現状分析で相続税を試算した時に現金預金等で不足する場合は、事前に納税用の売却可能な不動産の検討をしておく。③延納制度金銭納付が困難な場合、最長20年での分割払いができる。④物納制度延納でも納付が困難な場合は、国債、不動産、社債、株式、動産などを一定基準で物納する。4.ステップ4(対応策の実行)ステップ1からステップ3までが非常に重要であり、ここまで順序通りできたら、それぞれの対応策の中で優先順位の高いものから実行に移していく。5.ステップ5(効果測定)ステップ4で実行に移してそのままにしておくのではなく、対応策の効果を定期的に測定していく。定期的な自社株式評価の算定や税制改正等外部環境の変化が起こる可能性も高いので当初の対応策を見直す必要性も出てくる。おわりに以上、ステップ1からステップ5まで考察してきたが、最近では、事業承継や相続関連セミナーが多く行われている。そこで聞いた節税策を「これは良い」と思いステップ1からステップ3をカットしていきなりステップ4の対応策を実行しても、効果がでない場合や逆効果の場合もあるので十分注意が必要である。また、中小企業白書(2014年度版)によると、日本国内の個人事業所を含めた中小企業数は、385万社と推計されており、構成比で日本の企業数の99.7%を占める。従業者総数は、約3200万人で総体の約70%を占めており、正に日本経済の屋台骨を支えている。そして、日本の経営者の平均年齢も約60歳と高齢化を迎え、事業や技術力の継続・発展のために事業承継を円滑に行っていくことは、非常に重要な政策課題といえる。現在、国は中小企業・小規模事業者の事業承継に関する問題について、総合的な検討や改正を行っているので、この機会に経済産業省、中小企業庁、国税庁の各ホームページ等で確認し、課題解決に共通認識を持つことを期待する。注) 各種税制については平成26年12月1日現在で記述32中小企業支援研究

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