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を決定づけます。顧客視点での情報収集が事業経営を成功に導く重要な要因であり、社員一人ひとりの主体性と判断力が求められます。現場で活動する社員の自律した行動がキーとなります。自律型人材の育成には、「社員個々人に自分戦略」を立てさせることが重要です。自分戦略とは、自分の目標(=したいこと)を明確にし、自分の強みを意識させ自分の持つ独自能力を確立することです。社員には、組織の掲げる目標と個人のもつ欲求との刷り合せを促し、組織はそのギャップを埋め、フォローをします。個人と組織の成長が共に叶う状況を創り上げることが肝要です。(図表-1参照)3.自律型人材とリーダー出現率との相関性自律型人材の育成が、リーダーの出現率を増やし、その出現率と企業の成長には相関関係が見られます。本事例企業の成長過程から考察されました。ただし、狙う市場に需要があることが前提となります。リーダーは部下が挑戦したくなる誇りとなる目標を立て、部下と共に行動する。リーダーは部下のモチベーションを喚起します。部下の欲求を常に観察し、自律を促します。役割分担を明確にします。「リーダーとマネージャーとは違います」 リーダーは、人の行動を動機付ける資質を持ち、組織の戦略的目標と部下が抱く欲求、あるいは価値観との刷り合せを、常に意識して行います。部下の行動を、ひとつの目標へ導きます。カッツ、ロバートL(ハーバード大学)によると、リーダーは成功体験を持ち、3つの能力を備えた人材と説いています。①テクニカル・スキル(業務遂行能力)②ヒューマン・スキル(対人関係能力)③コンセプチュアル・スキル(概念化能力)です。経営者はリーダーを発掘する人眼力が必要です。4.円卓発想のチーム連携自律型社員の育成とリーダーの出現が、組織を“生き・活き”とさせます。自律をした社員は、自らの役割を自覚し、特有の強みである専門能力を発揮します。リーダーは、目標を共有し、メンバーの行動をあるべき姿に導きます。円卓発想の組織運営が、チーム連携を促し、メンバーの持つ異なる能力が集約され、知の拡張をもたらします。【事例研究-2】「利用者と従業員が喜びを分ち合う」を目標に、職種連携を促す円卓発想のチーム運営を実践介護施設事業者 K法人(図表:4-②)利用者様が、自分らしく健やかに大切な時を過ごして欲しい。在宅医療・看護・介護を包括的にケアする介護事業者です。「7種の専門職が利用者の求めるニーズに基づき、顧客価値創造の最大化を目指す」看護の高い質を追及した機能強化型看護2を施し、看護のホスピタリティ・マネジメント・プログラムを持ちます。円陣スタイルの朝礼・夕礼、円卓を囲んだ担当者会議を実践しています。5.個人知を組織に蓄積をする 知識創造経営個々の社員に成功体験を促します。組織は、個人に対し研修やOJTを通して支援をします。個人は、成功体験を業務日誌に記録し言語化し、形式知として残します。定期的な円卓発想の会議を開き、個人が得た技能やスキルを開示し、チーム間で知の交流を図ります。互いに新たな気づきを発見し、得られた知識は進化します。さらに、身体知化3され技能(参考)マズローの欲求段階説を基に作成2 在宅医療推進のために、重症者や看取りへの対応、それを担保する職員数やケアマネジメントなどに関して、一定の機能を備えた訪問看護ステーションをいう。2014年4月診療報酬改定で設けられた評価体系3 身体全体でつまりは五感凡てを挙げて体得する。別名「実践知」という。柴田 庄一,遠山 仁美(2003)個人知を言語化・共有化し、身体知化され組織知となる。図表-1:自律型人材を育てる仕組み39中小企業支援研究 Vol.2

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