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55中小企業支援研究 Vol.2を助長するものではなく、むしろ国内雇用の増加に寄与しうるものであることが判断できる。このため、海外への事業拡大・新市場開拓といった積極的な目的を持つ中小企業を発掘し、効果的な支援を実施することで、地域での雇用と税収の増加を実現することができ、地方自治体が中小企業の海外展開支援を実施する必要性と支援の有効性が十分にあると考えられる。地方自治体による中小企業の海外展開支援は積極的に推し進められるべきものであろう。4.2 地方自治体の海外拠点とその支援の現状ここでは、地方自治体が中小企業の海外展開支援を行う際に、現地において重要な役割を果たすことになる海外拠点について確認したい。(公財)自治体国際化協会が2011年にとりまとめた「自治体の海外拠点一覧」によると、わが国の54の地方自治体が146の海外拠点を開設している。これらの地方自治体の海外拠点を地域別・国別に分析してみると、中国に立地する拠点が66と最も多くなっており、次いで韓国の19拠点、アメリカの17拠点の順となっている。次に、これらの海外拠点の業態別の集計を見ると、民間団体等に業務委託を行っている海外拠点が、地方自治体が独自に設置している海外拠点を上回っている。業務委託を行っている海外拠点が多数に及んでいることは地方自治体の厳しい財政状況を反映しており、財政負担の軽減を図るためにやむを得ない面があると考えられる。しかし、民間団体等に業務委託を行うことで、地方自治体職員にノウハウが蓄積されない、民間団体等の持つ既存のネットワークを活用することになるので、どうしても画一的な支援体制となって、地方自治体の独自性を発揮しにくくなる面がある等の懸念材料もある。これらの地方自治体の海外拠点の基本的な業務内容は、①観光面での交流促進、②文化・教育面での交流促進、③経済面での交流促進の3つに分類することができる。①観光面での交流促進については、地方自治体の地域情報の発信や観光客の誘致促進等が主たる業務である。②文化・教育面での交流促進については、姉妹・友好都市等における学生の相互派遣や文化財・芸術作品の相互貸出等の業務が挙げられる。③経済面での交流促進については、特産品フェアや商談会の開催や地方自治体の特産品の販売促進や経済ミッションの派遣、海外からの経済関係者の受け入れ支援、外資系企業の誘致、ビジネスマッチングの開催等が主たる業務となる。その他に、海外拠点の立地国の一般的な行政や経済等に関する情報収集・提供が業務として挙げられるが、一般的な情報については、情報通信に係る手段が多様化した現在においては、海外拠点経由以外でも情報が入手可能であるため、地方自治体の海外拠点の業務としての重要性は、特殊な立地の海外拠点を除いては低下している。これらの地方自治体の海外拠点の基本的な業務内容のうち、地域の中小企業の海外展開支援に直接関わるものは、③経済面での交流促進に関わる業務で出所:(公財)自治体国際化協会「自治体の海外拠点一覧」より、筆者作成図表7 地方自治体の海外拠点数(2011年8月現在)拠点数代表的な拠点名及び拠点数中国66上海36、大連9、香港7、北京4韓国19ソウル14、釜山4アメリカ17ロサンゼルス4、ニューヨーク3シンガポール6シンガポール6フランス6パリ6台湾4台北4その他28バンコク3、ハノイ2、シドニー2合計146 

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