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取引先各社の決算内容が改善され、収益に直接影響を及ぼす延滞率も0.03%となっている。したがって、貸出額が増加し、不良債権コストが減少した結果、利益も順調に伸びている状況である。当金庫の順調な業績推移は、リレバン機能の強化が謳われた平成15年より5年ほど前の、まだ名称がない頃から取組んでいることによる。既に傷み始めていた取引先の決算内容の放置は、当金庫自身の存続を脅かすものと、自ら取引先の決算改善に動き出すビジネスモデルへの移行を決断した経緯がある。大多数の職員の業務を見直し、取引先との相談業務に特化した「事業コーディネート担当」300名を全店に配属している。また、「事業性評価」ではなく「事業診断」という名称で、20年ほど前から同趣旨の取組みも行っている。毎年11月には、企業展示・マッチング会である「ビジネスフェアfrom TAMA」を18年前から開催し、200社ほどの参加企業に「出会いとビジネスチャンス創出の場」を提供している。さらに、地域の大学、コンサルティングファーム、中小企業診断士等との1,400もの連携により、経営改善サポート、課題解決等の中小企業支援に取組んでいる。専門家派遣に至っては、費用負担のうえ年間3,000件行っているが、決算内容が改善され、融資が伸び、利息収入が増加すれば、一連の活動の受益者は当金庫であると認識している。中小企業基盤整備機構 ベンチャープラザ船橋チーフインキュベーションマネージャー榎本剛士氏本日は「LLPによる新製品開発に係る資金調達」の報告をさせていただく。そもそも、LLPとは、有限責任事業組合法に基づき組成された「有限責任事業組合」(民法組合の特例で認められた事業体)と位置付けられており、その特徴は、①有限責任制、②内部自治の原則、③構成員課税(パススルー課税)制度の適用が挙げられる。また、そのメリットは、先述①③に加えて、出資比率によらない利益配分と設立費用の低減が挙げられるが、対してデメリットは、事業中途の組織変更が不可であり、法人格を有さないことが挙げられる。今般、紹介させていただくLLPは、平成24年10月に組合員F及びGの2社で設立され、組成目的は「アルカリイオン水生成装置の開発及び普及事業」であり、自動車メーカーHの本社工場にインライン化され重要部品の最終工程での洗浄や、経済団体Iの入居ビルや外食FCチェーンJの全店舗の清掃に活用される等、大手企業や団体での採用実績がある。また、具体的なスキーム[1:組成]は、FとGとの間でLLP契約書を締結し、両社からLLPに拠出された出資金を実際に新製品開発を行う目的のもとにGが収受し、Gの開発協力会社数社とシェアして新製品開発を行うフローとなる。次に、[2:運営(製品販売)]は、Gが製造・販売元となり、①FもしくはGの取引先に対して直販するモデルと、②Gの販売代理店を通じて販売するモデルに分類できる。さらに、[3:損益配賦]は、Gが販売代金を回収のうえ一旦収受し(サービサーの位置付け)、LLPに対して販売実績の報告とともに、販売にともなう規定ロイヤルティーを配分した後、LLPは契約に基づき損益を配賦するフローとなる。なお、一連の運営に対する事業計画や販売計画、それに対する差異分析やPDCAシート等は、年次・月次ごとに詳細に作成され、厳密にレポーティングされている。千葉県内で本格的なLLP組成は初めてだったこともあり、大手経済新聞でも大きく取上げられたことを契機に、ある機内食製造会社との取引が成立した事例もある。このように、金融機関から融資を受けることができずとも、LLPという手法で資金を調達し、さらには好業績を残すことも可能であることを申し上げておきたい。三福工業株式会社 代表取締役会長 三井福次郎氏当社は栃木県佐野市にあり、1867(慶応3)年創業で、私が5代目で会長、息子が6代目で社長、孫が継いでくれたら7代目となるが、150年間続いている企業である。創業当時は米穀商、1916(大正5)年には味噌・醤油の醸造業も営んでいたが、1937(昭和12)年にゴム分野に事業を拡大(昭和35年にゴム事業に集中)した。その後は、ゴムにプラスチックを加えて、「ゴムとプラスチックの良いところを合わせたものづくり」を中心に事業展開し、当社にある資源を最大限に有効活用すると同時に、大手企業のOBを積極採用し新製品開発にも取組んでおり、また、このOBが持つ人脈を活かした外国企業との連携も実現し、成果を得ている現状である。とくに、当社は早々にインド進出を果たしており、インドにおけるゴム・プラスチック関係については、様々な会社から「まずは一報」と問合せが入る状況である。さらには、韓国企業と提携し、今年はタイにも進出し現地企業と合弁設立に至る等、積極的な海外展開を図っている。このように、事業拡大にともない業績も伸長しているが、加工賃ベースの取引が主力の16中小企業支援研究

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