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巻頭言本学は創立90周年を迎えましたが、この間に多数の素晴らしい経営者を生み出してきました。本学出身の社長は1300人以上もおり、全国約800の大学のうち、上位6%に位置する高い水準です。これらの経営者は腕と信用が不可欠とされる中小企業が多く、日本の経済発展を支えてきました。世界経済大恐慌の前年、バブルの最中、1928年に本学は創設されました。創設者の遠藤隆吉博士は当時の国内の商業道徳の衰退を憂い、商業道徳教育を建学の理念として本学の前身、巣鴨高等商業学校を設立しました。遠藤先生は新渡戸稲造博士の言う武士道を踏まえ、武士的精神の注入をと言われました。私は本学の伝統である倫理教育を継承するとともに、さらに発展させたいと考えています。本学の特徴、「治道家」の育成に向け、幅広い教養と倫理観の高い指導者・専門家を育成します。学長に就任した昨年の春以来、4つの学長プロジェクトを開始しました。学長プロジェクトの狙いは、千葉商科大学の価値を社会に情報発信することです。学長プロジェクトとしたのは学部を越えて全学的に活動を展開するためで、教職員と学生、多様なメンバーで進めています。4つの学長プロジェクトは以下のとおりですが、「アカウンタブルな社会・経済への大学の貢献」という共通テーマのもと活動しています。(1) 会計学の新展開(2) CSR 研究と普及啓発(3) 安全・安心な都市・地域づくり(Resilience)(4) 環境・エネルギー(Sustainability)その成果として、日本初の自然エネルギー100%大学となることが今年実現します。このことは早速、昨年末、環境省から表彰されました。環境者のCool Choice Leaders Awardの優秀賞が、中川雅治大臣から直接授与されました。また、地域貢献活動に向け、本学の発意で国府台コンソーシアムを昨年末に発足させることができるなど、すでに色々な成果が出ています。これらの詳細は、本学ウエブサイト 〈http://www.cuc.ac.jp/〉をご覧ください。中小企業研究・支援機構は昨年11月、経済研究所の公開シンポジウム「中小企業の成長と地域金融機関の融資~事業性評価に基づく融資への中小企業の対応のあり方~」を主催しました。当日は金融庁監督局銀行第二課の地域金融機関等モニタリング室長、日下智晴氏をはじめとする識者の方々にご登壇頂きました。このシンポジウムでは、昨今の話題である「事業性評価」に焦点をあてました。中小企業の持続可能な成長のためには、地域金融機関の融資が必須であり、中小企業の事業を正しく評価することが重要となります。適切な事業性評価というのは、持続可能な成長の要となります。学長プロジェクトでは、環境と社会に配慮した持続可能な社会を目指して研究活動を行っています。特にプロジェクト2ではビジネス倫理や政策倫理に基づいて、企業を始めとするさまざまな組織の社会的責任を環境や社会へ配慮したものに変えていくことを目標としています。社会的責任を如何に果たしているかが、その企業・組織の評価を高めていくという考え方です。事業性評価も、そうした社会的責任の観点が必要で、社会的責任をしっかり果たしている企業の価値が高まる時代がすでに到来しています。事業性評価の研究は倫理教育を基礎に、健全なビジネス活動を目指す千葉商科大学にふさわしい、重要なテーマです。創立90周年を機会に、社会科学の総合大学となった本学の力を発揮して中小企業の健全な発展に寄与するべく、新たな展開をしたいと思います。千葉商科大学学長原科 幸彦90周年を迎え新たな展開を-学長プロジェクトと中小企業支援研究-1中小企業支援研究 Vol.5

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