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XECUTIVE たら良いとお考えでしょうか。森田 それが一番難しいことで、自分の中で必ずしも答えが出ていることではありません。これから勉強していかなければいけない課題と考えております。今回、東京に出店するにあたり考えたのは、高級路線というよりもカジュアルで普通のお勤めの方が普段使いで手に届く手頃な価格で、品質は最高のものを私が選んで提供するというコンセプトです。「コストパフォーマンス日本一」を目指し、それだけではありませんが、出店のひとつの理念の形にもなっています。東京のお客様にも普通の方が手に届く手頃な価格で本物のものを提供したい。必ずしも本物を提供しなくてもやっていけるお店もあるかもしれませんが、安かろう悪かろうでは50年は続かないと思うのです。栗原 それでは話は変わりますが、このような経営理念にたどり着くまで、これまで社長はどのような経歴を歩んでこられましたか。森田 どこから話したらよろしいでしょうか。高校は奈良の帝塚山学園の高校を卒業しました。中学校の頃は勉強ができたんですよ(笑)。近所のスパルタの塾に行かせてもらっていたおかげです。大学は神戸学院大学の経済学部へ進学、その後、自分で編入手続をとって米国カリフォルニア州のAzusa Pacic Universityに留学しました。本物の和牛のおいしさを世界に発信したい栗原 英語はお得意なのですね。森田 英語は話せます。それが、赤坂に出店した時に大きく役立ちました。ここ大阪の店には外国人のお客様はあまり来店しないのですが、赤坂の店に来店されるお客様は場所がら外国人のお客様が多く、お客様とコミュニケーションをとるのに役立ちました。留学していたのは30年も前の話ですが、10分も話していると留学していたころの感覚が戻ってきて、英語で考えることもできます。今でも外国映画は字幕を見なくても俳優が話していることがわかります。栗原 英語が堪能でいらっしゃいますので、当然海外展開もお考えなのでしょう。森田 はい、夢は持っております。将来的には海外進出をしたいと考えております。最終的にはニューヨークに行きたいですね。それからヨーロッパも、東南アジアにも展開したいと思います。おいしい和牛のお店を出して、日本の本物の和牛を世界のみなさんに食べていただけたらと思います。前田 先日ベトナムへ進出するというお話をお聞きしましたが、まずは、ベトナムからですか。森田 つい先月ベトナムへ肉を卸す認可が取れたばかりです。ベトナムに知人がいるきっかけで始めたのですが、ここまで来るのに1年半かかりました。ベトナムの正月は2月なので、そこへ向けて輸出を始めることができればと考えております。「利はもとにあり」最高の品質のものを普段使いのお客様に届けたい栗原 海外へ進出するなど事業を発展させるためには時流に合わせて事業スタイルを変えていくことも大切ですが、逆に曾祖父の代からの歴史のある事業の何を引き継いでいきたいとお考えですか。森田 肉を買い付けする権利はほぼ世襲です。父親から受け継いだこの権利を守り伝えて商売に活かしていきたいと考えています。「利はもとにあり」という言葉があるように、肉は仕入れが大切です。品質の良い肉が手に入らなければ、お客様にも良いものを提供できません。震災の影響で福島の畜産農家が減っており、一方、和牛は海外へも輸出するようになりました。現在は、需要が増加して供給が減っていますので和牛の価格は高騰する傾向にあります。このような状況で、当社が目指す品質の良いものを手頃な価格で提供していくのはだんだん難しくはなってくるのですが、私には父から受け継いだ肉の買い付けの権利と父から学んだ肉を見極める目があるので、それを何とか活用して厳しい環境を乗り切っていきたいと考えております。毎日多くの人で賑う駒川商店街の一角を占める「肉の森田屋」28中小企業支援研究

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