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調査報告1 はじめに 近年、わが国に居住する外国人の数は大きく増加している。法務省の統計によると、2016年末の全国の在留外国人数は2,382,822人となっており、2015年末より150,633人(6.7%)増加し、統計を取り始めた1959年以来、過去最多の在留外国人数となった。都道府県別に見ても、全国47都道府県の全てにおいて在留外国人が前年より増加しており、全国的に増加傾向にあることが伺える。 また、厚生労働省の統計によると、日本国内の事業主に雇用されている外国人労働者も、2017年10月末現在で、1,083,769人と100万人を超えており、4年連続で過去最高を更新している。外国人労働者を国籍別にみると、中国(香港等を含む)、ベトナム、フィリピン、ブラジルの順に多くなっている。(図表1) これは、現在、政府が進めている高度外国人材や留学生の受入が進んできていることに加え、雇用情勢の改善が着実に進んでいることから、日系人を中心とした在留外国人や技能実習生の雇用が進んでいることが要因として考えられる。 政府は、2017年6月に閣議決定された「未来投資戦略2017」において、「移民政策と誤解されない」ことを前提に、外国人材を活用する方法として、高度外国人材の受入促進や、外国人技能実習制度の見直し、留学生の受入促進、介護分野における外国人材の受入れ等を決定しており、今後も国内の外国人労働者が増加することが予想される。 そこで、本稿では、近年、大幅に増加している外国人労働者の現況と、外国人労働者を中小企業において、どのように雇用し、活用していくかについて、その方向性を考えてみたい。2 外国人労働者増加の背景(1)日系外国人の増加 戦後長らく、わが国における定住外国人の多くは、戦前から居住する朝鮮半島出身者を中心とした特別永住者であった。しかし、1980年代後半のバブル景気により国内の労働力不足が深刻化したことから、産業界からの強い要請に応えるかたちで、1990年に「出入国管理及び難民認定法(以わが国における外国人労働者の現況と中小企業における外国人雇用の方向性について小坂 拓也千葉商科大学経済研究所客員研究員図表1 国籍別外国人労働者の割合42中小企業支援研究

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