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調査報告介護を追加し、最長5年間の技能実習の実施を可能とする等、実習期間や受入枠の拡大が行われた。あわせて、地方自治体に対する技能実習の適正な実施や外国人技能実習生の保護を図るために必要な施策を推進する努力義務が規定され、関係機関の指導監督・提携体制構築のために、地域協議会が設置されることになった。 さらに、改正入国管理法では、介護福祉士の国家資格を持つ外国人を対象に、新たな在留資格「介護」を創設した。これは介護福祉士資格を取得した外国人に限定して、日本での継続的に就労することを可能にするものであり、技能実習生が滞在できる最長5年間の中で、介護福祉士試験合格等の要件を満たせば、日本社会での定住の道が開かれることとなった。(3)政府による留学生の受入促進 3つ目の外国人労働者の増加要因としては、外国人留学生の受入拡大が挙げられる。文部科学省では、2008年に政府のグローバル戦略の一環として「留学生30万人計画」を発表し、日本への留学生を2020年までに14万人から30万人に増やすことを目標とした。「留学生30万人計画」が始まった2年後の2010年には入管法が改正され、永住権が取りやすくなるなどの施策が実施された。こうした政策により、留学生数は増加し、また、日本国内での就職率も徐々にではあるが、上昇するようになった。特に、人手不足が叫ばれ、売り手市場となった近年では、留学生の多くが、母国に帰国して就職するのではなく、日本での就職を目指すようになった。留学生の約90%はアジア諸国の出身であり、彼らの多くは、母国語に加え、日本語が堪能であるため、その高い語学力を生かして、将来の現地法人の幹部候補等、企業の海外人材として活躍するようになった。3 中小企業における外国人人材   の活用の方向性について(1)日系定住外国人の活用について 現在、定住外国人の中でも高い割合を占める南米出身の日系外国人については、従来、製造業の現場を中心とした定型的で単純な業務に従事する者が多かった。1989年の入国管理法改正後に、急増したいわゆる「デカセギ労働者」の多くは、特段の技術を持たない非熟練労働者であったため、これはやむを得ない面があった。また、彼らの母国語であるポルトガル語やスペイン語は、日本国内において需要が少なく、日本語力が十分でないこととあいまって、語学力を十分に生かす機会に恵まれなかった。一方、中小企業にとっては、人手不足の中で日本人労働者を十分に確保することができない条件であっても、日系定住外国人を雇図表2 外国人技能実習生数の推移44中小企業支援研究

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