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【報告テーマ】事例報告千葉商科大学大学院修了生小規模事業者の持続可能な発展~技術力を高め、戦略的な営業展開による企業経営~沼口 一幸55中小企業支援研究 Vol.5 本稿では、小規模事業者が直面した課題とその改善の取り組みから、事業の持続可能な発展のポイントについて、ものづくり企業の支援事例をもとに、以下のとおり概要を報告する。支援事例企業の概要 株式会社テクニカルアーツは、1990年に埼玉県川口市で創業した金属加工メーカーで、前身の企業から約50年にわたり紙器抜型丸刃の製造を主に行っている研磨、刃付けに高い技術力を有する従業員20名、資本金3,000万円の小規模事業者である。【経営理念】・丸刃業界で1位であり続ける。・従業員が長期安定的に働ける場所を提供する。【経営方針】・常にお客様の心を第一と考え信頼される製品を作る。・常に創造性と研究心を大切にし使って喜ばれる製品を開発する。・常に地球資源エネルギーを大切にし環境への心配りを忘れずものづくりに取り組む。 主力の丸刃は、ベルトや靴ひもを通すための穴あけの他、携帯電話の保護フィルムの穴あけ等に利用されている。そして、丸刃を木型にはめるために木型をレーザーで穴を開けるレーザカッティングを行っている。平成24年からは、丸刃と異なり、抜き材が詰まらない大きな特徴があり、シール・ダンボール・自動車用のマット・フェルト・ふろ用マット等の用途がある多様な形状の研磨刃(以下、変形刃)の製造・販売を行っている。 また、平成22年から試作開発し、販売を開始した医療用穿刺針は、手術時に不要になった血液等を排出するためのドレーンチューブを通すために使用される医療器具となる。医療用穿刺針は、同社が培ったノウハウを活かし独自の形状の刃先により患者への負担軽減に寄与される医療器具で、平成28年2月に第5回渋沢栄一ビジネス大賞※1 特別賞を受賞し(医療用穿刺針:すくい面.4面.6面)、5月にはコラボ産学官埼玉支部企業表彰※2 優秀賞を受賞し(医療用穿刺針:すくい面.4面.6面)、9月には6面穿刺針が意匠登録された今後、医療分野でシェアの拡大が期待される製品となる。代表取締役 山形 龍司 氏丸刃変形刃※1 平成23年度から埼玉県では新たな事業展開や革新的な技術開発に積極的に挑戦し、大きな飛躍を目指す県内中小企業を表彰している。※2 事業活動の活性化、新経営手法、ビジネスモデルの構築を奨励・支援するため一般社団法人さいしんコラボ産学官の会員企業が表彰される。 大手医療機器メーカー製品(医療用穿刺針)

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