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『中小企業支援研究』編集委員長前田  進62中小企業支援研究このたび『中小企業支援研究』第5号を発刊する運びとなりました。これもひとえに学内外の関係者の皆様からのご支援、ご協力の賜物と、深く感謝申し上げます。中小企業はわが国の産業の99.7%を占めており、その約90%が小規模企業によって支えられております。従いまして、わが国の経済社会にとって、中小企業がいかに重要な存在であるかは、今更言うまでもありませんが、こうした実態に比して、中小企業経営の難しさ、その維持継続の困難さは、廃業に関わる数字を確認するまでもなく、私たちを取り巻く日常的な環境の中で容易に見聞きすることができます。また、第二次世界大戦後の復興の中で立ち上がってきた多くの中小企業者が事業承継期を迎えているこの時代は、円滑な事業承継、さらには事業からの円滑な退出という考えも重要なキーワードとなってまいりました。しかし、そうした中でやはり問題となるのは、中小企業の永遠の課題ともいえる資金調達力や組織力の強化といったことがあげられます。これらについて、本誌では成城大学名誉教授村本孜氏より、特に昨今話題となっている事業性評価の運用の実際について、特に信用補完制度との関連から論じていただきました。これらに関連して、11月に開催された本学経済研究所主催のシンポジウムでも取りあげられ、その内容はシンポジウム・レポートとして掲載していますので、あわせてお読みいただければと思います。また、千葉県信用保証協会企業サポート室長海老原洋一氏より、所属する部門による創業の失敗を未然に防ぐための地に足の着いた取り組みについてご紹介いただきました。その一方で、止む無く事業からの退出を計画する際の、経営資源の譲り渡しという、新しい着眼点について、日本政策金融公庫総合研究所主席研究員井上考二氏よりご紹介いただきました。組織の問題については、本学人間社会学部教授鈴木孝男氏より、昨今薄れつつある企業内での非言語コミュニケーションの重要性についてご示唆いただきました。事例報告や経営者インタビューでは、毎号リアルな経営の断面を紹介しており、本誌でも中小製造業における技術開発の視座、小売・サービス業の企業化への視点等を紹介していただきました。そして、中小企業が直面しているこのような課題、問題の解決を支援していく支援機関関係者、あるいは中小企業診断士をはじめ本研究所の研究員が、将来に向けて研鑚していくべき方向性について、元中小企業診断協会会長、現日本経営診断学会顧問の重責に身を置いて、中小企業診断に多くの貢献をされてこられました新井信裕氏より、コンサルティング・サイエンスの発想について貴重なご示唆をいただきました。本誌が中小企業やそこに関わる皆様の事業や活動、研究に一層お役に立てるように、これからも編集委員が総力を挙げて努力してまいる所存です。編集後記

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