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XECUTIVE 従業員である職人さんに理解し納得してもらうまで時間がかかりました。「職人の世界」で認められるため、必死になって勉強したことを覚えています。今でも覚えていますが、工場で一番頑固な当社の従業員である職人さんが、ある時、私に、「この仕事だけど、どうやったら良いと思う」と相談された一言で、私も変わることができました。この出来事があってから、徐々に工場内の雰囲気が変わり、円滑なコミュニケーションがとれるようになりました。 スムーズなコミュニケーションがとれるようになり、鋳物場の2Sからはじめ、工場の中のムダな作業の改善に取り組みました。「型」の見直しも行い、不良率を大幅に下げることにも成功しました。当時、当社の従業員である職人さんは皆、一定数の不良品が発生することは仕方がないことで、「なぜ、不良品が発生するのか」、「どのようにしたら、不良品を減らすことができるのか」など、改善方法を考えることもなく、昔ながらのスタイルを守り通していました。しかし、型数が減っても、不良品が減少すれば、効率性が高まることを実感した当社の従業員である職人さん達の意識が徐々に変化し、今では、QC活動も定着するようになりました。 また、「材料」の配合も記録し、工夫するようにしました。例えば、融点の低い亜鉛は先に溶けるため、どの程度の配合が適しているのか日々、研究しました。 これらの取り組みは、日報として記録し、前会長との交換日記のような形式で、試行錯誤した情報を残し、様々な経験やノウハウを積むことができた私の財産となっています。 前会長、現社長がともに、「失敗」を責めず、その「失敗」をどのようにして、次の取り組みにいかすのか一緒に考えてくれたことが大きかったと思います。今でも、当時の日報は大切に保管しています。 私も若い頃に経験した教訓は心に残りますので、若手を育成する際には、敢えて「失敗」させ、なぜ「失敗」したのか経験させることもあります。「後継者」としての自己研鑽の日々 沼口:当時、「ものづくり」の勉強・研究に明け暮れていた小林常務ですが、フロンティア墨田塾に入塾した際に、自社のことを他の人にうまく伝えることができなかった時期があったとお聞きしましたが、どのように克服されたのでしょうか。小林常務:当時の私には、人前で話をする機会が少なかったため、人前で話をすることに対して苦手意識を持っていました。苦手意識を克服しようと、行政や関係機関の皆様のご支援をいただきながら、フロンティア墨田塾14、15期の会長を拝命し、墨田区の代表として、様々な地域活動などに参加させていただきました。会長としての活動をさせていただいた結果、全国の中小、小規模事業者の経営者や後継者の方とのネットワークを構築することができました。今でも、そのお付き合いは続いています。沼口:当時、フロンティア墨田塾の会長の活動をするにあたって、どのような点について心掛けていましたか。小林常務:墨田区のことはもちろんですが、私を支えてくれた事務担当の方とのコミュニケーションを一番、大切にしました。社内でもそうですが、円滑なコミュニケーションがあっての組織活動だと考えているからです。若手従業員の育成と組織力の強化 沼口:フロンティア墨田塾の会長だった頃のお話を聞くと、会長職を全うする中で組織を動かす「いろは」も学ばれたんですね。小林常務:当社の従業員の半分は、20~30代です。「ものづくり」に対する意識は高いですが、個性派揃いですので、一人ひとりアプローチを変えて、従5Sに取り組んでいる鋳物場16中小企業支援研究

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